タイトル | 養殖ウナギを用いた放流ウナギに雌を含ませる手法の開発 |
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担当機関 | 愛知県水産試験場 |
研究期間 | 2013~2017 |
研究担当者 |
鈴木貴志 鯉江秀亮 岩田友三 服部克也 |
発行年度 | 2017 |
要約 | 資源保護のために養殖ウナギの放流が行われているが、養殖ウナギのほとんどが雄であるため、雌を含ませる方法を検討した。雌は緩慢な成長をした個体に多く認められ、集団(出荷サイズ)の相対成長率からその集団の雌比率を推定できるようにした。 |
背景・ねらい | 近年ウナギ養殖の種苗となるシラスウナギの採捕量減少や、2014年にはニホンウナギの絶滅危惧種(EN)に指定されるなど、ウナギ資源回復への取組みが強く求められている。このため、養鰻関係者により親魚資源への添加を目的として養殖ウナギの河川や河口域への放流が行われているが、養殖ウナギはほとんどが雄であることから、産卵親魚となる雌を含ませる手法の開発が求められている。 |
成果の内容・特徴 | 養殖ウナギから選別した放流用ウナギ集団の雌比率を高めるため、愛知県西尾市地区の17養殖場から出荷されたニホンウナギ667個体について相対成長率と生殖腺を調査した。性別が判定できた665個体のうち雄は616個体、雌は49個体であり、平均相対成長率が2.5% /日より高い出荷ロットでは全ての個体が雄であった(図1)。平均相対成長率が1.5~2.5%/日の出荷ロットは雄のみ、あるいは若干雌が含まれ、平均相対成長率が1.1~1.5%/日の出荷ロットではいずれにも雌が含まれ、その雌比率は11.8~29.4%であった(図1)。出荷ロットの平均相対成長率と雌比率には相関が認められた(図2)。一方、低成長個体を再飼育した出荷ロットでは約50%が雌であった(表)。体重300g以上では雌の体重は雄よりも大きかったことから、雌比率の高い放流集団を作出するためには、池入れから出荷にかけて緩慢な成長をした個体(低成長個体)を体重300g以上まで養成し、この飼育群の中の体重上位群を選抜することが効果的と考えられた。 |
成果の活用面・留意点 | 放流する養殖ウナギを選定する場合、養成速度(相対成長率)を基準とすることで雌を含ませることが可能となるが、養殖環境で成育した個体は家畜化(家魚化)されているため、放流後の生残性については検証が求められる。また、成長性と雌化については、河口域よりも餌料環境が劣る河川上流域に向けて遡上したクロコウナギが、河口域よりも成長速度が劣るため、結果として高率で雌化していることが示唆され、上流域で成育して降河する銀ウナギの重要性を考察する材料となる。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7064&YEAR=2017 |
カテゴリ | 出荷調整 |