北海道周辺に来遊するトドの食性の年代および海域間比較

タイトル 北海道周辺に来遊するトドの食性の年代および海域間比較
担当機関 地方独立行政法人北海道立総合研究機構稚内水産試験場
研究期間 2004
研究担当者 後藤陽子
発行年度 2018
要約 北海道周辺で採集されたトドの胃内容物を分析し、年代・海域間で比較検討した。1990年代の主要な餌生物はスケトウダラ、マダラ、コマイ等であったが、羅臼、積丹、礼文島周辺では2000年代後半からホッケやホテイウオ等が多くなった。北海道周辺に来遊するトドは”日和見的な捕食者”であり、その時・その場所で容易に捕食できる多様な餌生物を捕食していることが示された。
背景・ねらい 北海道日本海沿岸地域や青森県北部沿岸地域では、毎年秋から翌春にかけてロシアから来遊するトドにより大きな漁業被害が発生し、その対策が求められている。北海道立総合研究機構水産研究本部と水産研究・教育機構北海道区水産研究所では、毎年の来遊・上陸状況のモニタリングや採捕・混獲個体の消化管内容物分析などを実施し、被害実態を把握している(有害生物(トド)生態把握調査事業)。特に、トドによる水産資源の捕食状況について実態解明を求める声は大きく、餌生物の数量変動や地理的分布に応じて変動すると考えられる種組成を明らかにする必要がある。
成果の内容・特徴 これまで情報の少なかった日本海におけるトドの食性把握、生息環境や漁業との対応関係分析により、漁業被害実態をより詳しく把握することが可能となった。主要な餌となっている生物種の多くは重要な水産資源であり、漁網に掛かった水産資源の捕食やそれに伴う漁具の破損被害(直接被害)にくわえ、周辺に来遊・分布する資源の捕食(間接被害)も深刻であることが示唆された。これらの重要水産資源が減少していくと、さらに他資源への捕食圧が増すことや、少ない資源を求め漁業との軋轢が激化していく可能性もある。
成果の活用面・留意点 北海道周辺では多くの水産資源が秋~翌春にかけ産卵のために沿岸域に集群し盛漁期となるため、トドの来遊が漁業生産に大きな影響を及ぼしていることが改めて示された。この成果は漁業被害防止対策や、野生生物との共存を考慮した管理手法構築に活用される。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8023&YEAR=2018
カテゴリ モニタリング

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