下水処理放流水に含まれる溶存態無機窒素(DIN)がノリ漁場に与える影響

タイトル 下水処理放流水に含まれる溶存態無機窒素(DIN)がノリ漁場に与える影響
担当機関 兵庫県立農林水産技術総合センター 水産技術センター
研究期間 2013~2017
研究担当者 原田和弘
宮原一隆
阿保勝之
川崎周作
竹迫史裕
発行年度 2018
要約 播磨灘北東部沿岸のノリ漁場周辺において、表層DIN濃度水平分布、潮汐流に伴う塩分やアンモニア態窒素(NH4-N)濃度の観測、下水処理放流水に含まれるDIN動態に関する数値シミュレーション、および養殖ノリの色調を調査した結果、当海域では下水処理水や港湾流出水によるDIN供給の影響を受けやすい沿岸側の漁場で、ノリの色調が良好あることが判明し、下水処理場の栄養塩管理運転の効果が実証された。
背景・ねらい 瀬戸内海沿岸のノリ漁場では、DIN濃度低下による養殖ノリの色落ちが問題となっている。兵庫県内ではノリ漁場へのDIN供給対策として、臨海部の下水処理場における栄養塩管理運転(規制値内での窒素排出量増加運転)に取り組んでいる。本研究ではノリ漁場周辺の下水処理場等から供給されたDINが、近隣海域で生産されるノリの色調に与える影響を調べ、栄養塩管理運転の有効性を明らかにする。
成果の内容・特徴 調査対象とした播磨灘北東部沿岸のノリ漁場周辺では、港湾や下水処理水放流口周辺でDIN濃度は高く、海岸線に沿ってDINの高濃度域が分布する特徴があった(図1)。下水処理水放流口東部に船舶を停船させて連続観測した結果、潮汐流に伴って塩分およびNH4-N濃度は変化することが判明した(図2)。また、下水処理水放流口周辺に設けたライン上の定点調査でも、潮汐流に伴う塩分およびNH4-N濃度の変化が捉えられた(図3)。数値シミュレーションでは、栄養塩管理運転によって増加した下水処理水中のDINは、下げ潮時を中心に近隣ノリ漁場に到達する計算結果が得られた(図4)。近隣のノリ漁場におけるノリの色調は、同一区画の沖合側よりも沿岸側で良好な結果であった(図5)。これらの結果を総合的に考えると、当海域のノリ漁場では下げ潮時に下水処理水や港湾水に由来するDINの供給を受けており、その影響をより受けやすい沿岸側でノリの色調も良好であったことから、栄養塩管理運転によって増加したDINは養殖ノリ生産の安定化に寄与していると判断された。
成果の活用面・留意点 下水処理場の季節別運転管理など、播磨灘北部における漁場への栄養塩供給を検討する知見として役立てる。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8039&YEAR=2018
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