トサカノリ人工種苗を用いた移植手法の開発

タイトル トサカノリ人工種苗を用いた移植手法の開発
担当機関 東京都島しょ農林水産総合センター
研究期間 2015~2017
研究担当者 早川 浩一
発行年度 2018
要約 トサカノリ人工種苗の天然海域への移植方法について検討を行った。ロープ移植では、設置水深を変えて移植を行い、また、基質移植では異なる生長段階の種苗が付着した基質を同時に移植することで、移植に適した水深や種苗の生長段階を把握した。
背景・ねらい 伊豆諸島の重要な漁業資源であるトサカノリの増殖技術を確立するため、東京都島しょ農林水産総合センターでは、これまでに、トサカノリ胞子を高密度に含む胞子液を用いた効率的な採苗方法を開発した。そこで、この採苗方法により育成した種苗を天然海域へ移植するための手法について検討を行った。
成果の内容・特徴 (1)種苗の育成方法と移植手法の検討  種苗の育成方法は、培養過程で基質から剥離し独立した状態で育成した「フリーリビング種苗」と、胞子を基質に付着させたまま育成した「基質付着種苗」の2通りを行った(図1)。フリーリビング種苗はロープに挟み込み、垂直護岸へ取り付ける方法、基質付着種苗は基質ごと海底に固定する方法で移植を試みた。 
(2)フリーリビング種苗の移植  藻長約30~40mmの種苗をクレモナロープ(Φ4mm、長さ5m)に10cm間隔で挟み込み(47株/本)、水深約3m、4mおよび5mの位置にある垂直護岸の吊金具に2本ずつ取り付けた。移植後92日目にロープをすべて回収し、生残株数、平均藻長、平均湿重量および全株合計総湿重量を測定した。結果、各区平均藻長111.4~164.3mmまで生長したが、種苗の生長、生残ともに4m区が最も良い結果となった(表1)。 
(3)基質付着種苗の移植  市販の移植基質を用いた基質付着種苗をステンレスカゴに入れ、水深約5mの海底に固定した。移植種苗の生長段階は、2mm程度に直立生長した段階(2か月育成区)、1mm程度の球状の段階(1か月育成区)、および採苗後7日目の肉眼では胞子が確認できない段階(1週間育成区)の3段階とした。これらを同時に移植し、毎月1回、藻長を測定し生長経過を比較した。結果、移植後90日目までは2か月育成区の生長が他の区より良い生長を示したが、移植後156日目には全区間で差はなくなり、20cm前後まで生長した(図2、図3)。  
成果の活用面・留意点 今回移植した種苗は、生長後多くの藻体で成熟を確認することができた。このことから、移植種苗は漁獲対象として利用されるだけでなく、周囲への胞子供給源としての役割を果たすことも考えられた。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8061&YEAR=2018
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