循環飼育で使用した生物ろ過槽のろ材の管理方法の検討

タイトル 循環飼育で使用した生物ろ過槽のろ材の管理方法の検討
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 瀬戸内海区水産研究所
研究期間 2012~2016
研究担当者 今井正
森田哲男
今井智
岡雅一
坂見知子
高志利宣
山本義久
発行年度 2018
要約 循環飼育における飼育終了後の生物ろ過槽を管理する場合、汚れたろ材は洗浄し、また、乾燥させないことで、初期のアンモニア酸化活性が維持できることが示された。水温25℃の条件では、使用停止後半年以内は、ろ材を水中で保存して再使用の4日前にアンモニアを添加することで活性が回復できることが示された。半年以上使用しない場合には、毎週アンモニアを添加することで活性が維持されると考えられた。
背景・ねらい 循環飼育において、水生生物に有毒なアンモニアを無害化する生物ろ過槽の管理は重要である。飼育終了時の生物ろ過槽の管理には、飼育水槽や物理ろ過装置と同様に一旦洗浄・殺菌する場合と、硝化細菌の活性を維持するために生物ろ過槽をそのままに保持し続ける場合がある。今回は、保持し続ける場合の適切な管理方法を明らかにすることを目的とした。
成果の内容・特徴 硝化細菌が付着したろ材(熟成ろ材)について、洗浄がアンモニア酸化活性に及ぼす影響をみた。汚れていないろ材は洗浄による活性変化はほとんどなかったが、汚れで目詰まりしたろ材は洗浄により活性が大きく増加した(図1)。熟成ろ材を湿度30%、60%および袋に密封して保湿した状態で25℃で保存し、アンモニア酸化活性の変化をみた。湿度30%では9日後に活性がなくなり、湿度60%では30日後に初期の3.2%まで低下した(図2)。一方、保湿状態では30日後でも約50%の活性を有していた。これより熟成ろ材の活性は乾燥によって低下すると考えられた。熟成ろ材を25℃でアンモニアが枯渇した水中に保存した場合、活性は徐々に低下し、24週後には初期の5.4%になった(図3)。一方、活性が低下した熟成ろ材に再びアンモニアを供給すると、4日後には活性が元の水準に回復した(図4)。熟成ろ材へのアンモニア供給は、1週間間隔では活性が維持されたが、2週間以上の間隔では徐々に活性が低下した(図5)。よって、熟成ろ材を管理する場合、ろ材が汚れていれば洗浄するのが望ましく、またろ材を乾燥させると大きく活性が低下することが示された。水温25℃の条件下では、半年以内であればアンモニアを添加せずに水中で熟成ろ材を保存することが可能であり、使用する4日前にアンモニアを再添加することで活性が回復することが示された。ろ過槽を半年以上使用しない場合には、毎週アンモニアを添加して活性を維持する管理が必要であると考えられた。
成果の活用面・留意点 循環飼育を導入している施設において、生物ろ過槽を安定的に運用するために本成果は活用できる。プラスチックやセラミックスのようなpH緩衝能を持たない素材のろ材では、アンモニアの添加によってpHが低下するので、換水を行うかアルカリ源の添加が必要である。また、疾病が疑われた場合には、生物ろ過槽に病原体が潜伏している可能性もあるので、再発防止のために生物ろ過槽を一旦塩素殺菌する必要がある。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8072&YEAR=2018
カテゴリ 乾燥

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる