タイトル |
塩分の変化が渦鞭毛藻アレキサンドリウムとラフィド藻ヘテロシグマの消長に与える影響 |
担当機関 |
(国研)水産研究・教育機構 水産大学校 |
研究期間 |
2016~2017 |
研究担当者 |
山崎康裕
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発行年度 |
2018 |
要約 |
塩分の変化がアレキサンドリウムとヘテロシグマの競合関係に与える影響を調べた結果、塩分30ではアレキサンドリウムが増殖する一方、塩分20ではヘテロシグマが増殖することが判明し、塩分の変化が現場における両種の消長に大きく影響することが示唆された。また、競合種を排除するために、アレキサンドリウムは細胞接触に伴う溶血活性を有しており、ヘテロシグマはアレロパシー物質を産生していた。
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背景・ねらい |
山口県徳山湾における現場調査から、貝毒原因渦鞭毛藻 Alexandrium catenella と赤潮原因ラフィド藻 Heterosigma akashiwo は競合関係にあることが示唆されており、塩分が低下する梅雨時期にアレキサンドリウムからヘテロシグマへ種変遷することが観察されている。そこで本研究では、塩分の変化が両種の競合関係に与える影響を調べた。
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成果の内容・特徴 |
塩分30でアレキサンドリウムとヘテロシグマの混合培養を行った結果、アレキサンドリウムがヘテロシグマの増殖を顕著に抑制し、培養14日目にはへテロシグマ細胞が消失した(図1A)。しかし、塩分20で両種の混合培養を行った結果、ヘテロシグマがアレキサンドリウムの増殖を顕著に抑制した(図1B)。また、アレキサンドリウムは塩分の低下に伴い増殖速度が低下するのに対し、ヘテロシグマの増殖速度は上昇することが判明した。さらに、アレキサンドリウムは細胞接触に伴う溶血活性を有しており(図2)、ヘテロシグマはアレロパシー物質を産生していることが明らかとなった(図3)。よって、塩分の変化が現場における両種ブルームの消長に大きく影響を与えていることが示唆された。
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成果の活用面・留意点 |
塩分をはじめとする水質環境の変化が多種間で起こる植物プランクトンの競合関係に与える影響を解明することにより、赤潮の発生予察技術を向上できる可能性がある。
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研究内容 |
http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8165&YEAR=2018
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カテゴリ |
アレロパシー物質
予察技術
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