タイトル |
ブドウ「巨峰」等の着色不良発生予測マップ |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門 |
研究期間 |
2011~2018 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2018 |
要約 |
「巨峰」や「ピオーネ」の着色不良発生は、果粒が急速に軟化するベレゾーン期以降の気温から推定できる。この技術により作成した着色不良発生予測マップによって、将来の各産地における着色不良発生頻度を把握できる。
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キーワード |
温暖化、果皮色、気候変動、適応策、ピオーネ
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背景・ねらい |
温暖化に伴う夏季の気温上昇により「巨峰」や「ピオーネ」等のブドウ主力品種において赤熟れと呼ばれる着色不良の発生が増加している。着色不良は商品価値を大きく低下させるため、温暖化が進行すると温暖化対応品種への改植や樹種転換の必要性が生じる。そのため、将来の着色不良発生頻度について詳細な予測マップ(1kmメッシュ)を開発し、地域の適応計画や産地の将来設計策定に必要な資料を提供する。
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成果の内容・特徴 |
- 気温が果皮色に影響を及ぼす期間は、概ねベレゾーン期から収穫始期であり、「巨峰」で満開後50~92日、「ピオーネ」で46~91日である。この期間が1℃高いと収穫期の果皮色(カラーチャート値)は約1低下する(図1)。この関係を用いて着色不良発生が予測できる。
- 「巨峰」の満開期は4~5月の平均気温が1℃高いと5.4日程度早くなる(図2)。また被覆時期にもよるものの、露地と比べるとトンネルで2.3日、雨除け施設で5.6日、無加温ハウスで17.9日開花が早くなる。
- 以上の結果と気温の予測値から将来の着色不良発生が予測できる。
- 「巨峰」では2040年頃には東日本から南日本にかけて着色不良の発生頻度はかなり高くなるが、無加温ハウスにすることで満開期が早くなり、結果として着色不良発生も減らすことができる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:行政、普及指導機関等
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:東日本以西の「巨峰」の生産地(栽培面積4250ha(平成27年特産果樹生産動態等調査))。
- 発生予測マップは気候変動適応法に基づいて自治体が地域適応計画を策定する際に、適応品種、技術の導入等を判断するための基礎資料として活用できる。
- 農研機構メッシュ農業気象データ(https://amu.rd.naro.go.jp)等で数十日先までの気温予測データを入手すれば、図1の関係式に適用することで当年の着色不良発生可能性が事前に推定できるため、普及指導機関等において、本成果を注意喚起の目的で利用することも可能である。
- 着色不良発生リスクが高い場合の適応策として環状剥皮や反射マルチの設置、着果制限などがある。また、高温下でも着色が良好な品種として「グロースクローネ」「涼香」などがある。
- 予測マップは農研機構WEBサイトより入手できる。http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/131034.html
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2018/18_056.html
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カテゴリ |
改植
カラー
品種
ぶどう
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