圧雪処理(雪踏み)は野良イモ対策と秋まき小麦の収量確保の両立を可能にする

タイトル 圧雪処理(雪踏み)は野良イモ対策と秋まき小麦の収量確保の両立を可能にする
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2013~2017
研究担当者 下田星児
廣田知良
小南靖弘
発行年度 2018
要約 圧雪処理(通称:雪踏み)は、断熱材の役割をする積雪内の空気を除いて土壌凍結を促進し、野良イモを防除できる。少雪時の高頻度の圧雪を避ければ、道東の輪作体系でジャガイモの次作として最多の秋まき小麦圃場の上で実施が可能で、小麦収量も確保できる。
キーワード 小麦、ジャガイモ、輪作、越冬、雪踏み
背景・ねらい 北海道東部(道東)では、収穫時に取り残したジャガイモが翌年に雑草化する「野良イモ」が多発し、重労働の抜取り防除、病害の温床、種イモの異品種混合等の問題が生じている。既存の野良イモ対策の除雪技術「雪割り」は、断熱材の役割をする雪を地表面が露出するまで除くことで土壌凍結を促進させ、地温を低下させることで、野良イモを枯死させる。道東の輪作体系で、ジャガイモの次作として最も多く栽培される作物は秋まき小麦であるが、越冬中の雪割りは作業の際に作物体を傷めるため不可能であり、代わりの技術の開発が求められている。そこで本研究では、断熱材の役割をする積雪内の空気を除く圧雪処理「雪踏み」による地温低下の促進を提案するために、異なる積雪パターンと作業回数で圧雪処理試験を実施し、小麦の生育と野良イモ防除が両立するか検討する。
成果の内容・特徴
  1. 北海道農業研究センター芽室研究拠点(土壌タイプ:黒ボク土)圃場において、土壌凍結深制御の情報システムを参照して目標とする凍結深を30cmと50cmに決め、主にトラクターのタイヤを用いて圧雪作業を実施した。圧雪を実施しない場合は、深さ8cmに埋設した野良イモが53%~100%発生するのに対し、年1~3回の圧雪を実施した場合は、0~7%の発生に抑えることができる(表1)。
  2. 3回以内の圧雪で、深さ8cmの地温が-3°C以下、凍結深が30cm以上に達した年は、野良イモの防除効果が高い。一方、2016/17年のように、圧雪処理を行っても、積雪が30cmを超える場合、圧雪により土壌凍結を発達させることは可能だが、地温の低下が緩慢になるため(図1)、野良イモの防除効果は弱まる可能性がある。
  3. 暖冬年(2013/14年)に、積雪10cm程度の少雪状態で2月後半まで作業を行うと、初期生育の遅れにより収量が減少する。それ以外の条件では、収量の減少は見られない(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:生産者、普及組織、JA、コントラクター。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:北海道十勝地方、オホーツク地方の1000ha。
  3. その他
1)この技術は、トラクターを利用して、農家自身による作業の実施が可能である。タイヤローラーを用いると、広い面積の作業を効率よく実施できる(2017年北海道・指導参考)。
2)少雪時の圧雪処理は、植物体の損傷を招き、小麦の生育・収量の低下に繋がる。少雪時に高頻度の圧雪は、避ける必要がある。
3)土壌凍結深制御の情報システムは、イノベーション創出事業29017Cにおいて、圧雪処理時の予測を追加して、2019年度に完成予定である。
4)除雪処理「雪割り」による野良イモ対策技術に関する成果情報
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2018/18_058.html
カテゴリ 病害虫 小麦 コントラクター 雑草 ばれいしょ 品種 防除 輪作 輪作体系

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