タイトル | 稲WCSとイタリアンライグラスを組み合わせた水田飼料作拡大による酪農経営の収益性 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 | 2019~2020 |
研究担当者 |
西村和志 森岡昌子 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 畑飼料作拡大の難しい水田地帯における酪農経営では、耕種経営との連携による稲WCS収穫・利用及び、その裏作イタリアンライグラス生産により、経産牛1頭当たり8万円/頭以上の年間所得向上効果が期待できる。 |
キーワード | 酪農経営、自給飼料、稲WCS、水田飼料作、耕畜連携 |
背景・ねらい | わが国の畜産は飼料の輸入依存率が高く、経営の安定性や食料安全保障を目的とした飼料自給率向上の観点から,国産飼料を中心とした畜産経営の確立が求められている。しかし、府県においては畑地の確保が難しく、耕種経営と連携した水田飼料作の拡大を推進する必要がある。そこで、現地調査及び経営計画モデルによるシミュレーション分析により、耕種経営との連携による稲WCS収穫・利用及び、その裏作でのイタリアンライグラス生産による酪農経営の収益性について明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.調査経営は畑地でのトウモロコシWCS生産に加えて、耕畜連携による水田40haでの稲WCSの収穫・利用、及びその裏作でのイタリアンライグラスの生産・利用に取り組んでいる。生産費統計データと比較して、調査経営の乳飼比(乳代に占める購入飼料代の割合)は7.4ポイント低く、1頭当たり年間所得が8.3万円/頭高い(表1)。 2.調査経営のデータを基に、経営計画モデルを構築し、耕畜連携による水田飼料作拡大のシミュレーションを行なったところ(モデルでは冬飼料作をイタリアンライグラスに1本化)、稲WCS利用は41ha、冬飼料作のイタリアンライグラスは46haまで拡大し、調査経営の実績値である稲WCSの40ha、冬飼料作の合計面積45haにほぼ等しい解が得られた(表略)。 3.稲WCS利用面積を0haから40haまで段階的に拡大するシミュレートを行なったところ、飼料作の生産規模に応じた機械設備が選択されつつ、1頭当たり年間所得が22.2万円/頭から31万円/頭まで、8.8万円/頭増加した(図1)。この増分は調査経営の実績値と生産費統計データ間の差額8.3万円/頭とほぼ同水準である。 4.調査事例データと生産費統計データの比較及び経営計画モデルによるシミュレート双方から、耕種経営との連携による稲WCS収穫・利用及び、その裏作イタリアンライグラス生産による1頭当たり年間所得8万円/頭以上の所得増効果が示された。 |
成果の活用面・留意点 | 1.関東以西水田地帯の酪農経営における自給飼料拡大計画に参考データとして活用できる。 2.調査経営及び経営計画モデルにおける稲WCSと冬飼料作は、いずれも高タンパク含量を狙った出穂期収穫である。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2020/harc20_s03.html |
カテゴリ | イタリアンライグラス 経営管理 高タンパク含量 水田 とうもろこし 乳牛 |