障がい者雇用におけるユニバーサル農業の実践とJGAP導入の効果

タイトル 障がい者雇用におけるユニバーサル農業の実践とJGAP導入の効果
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター
研究期間 2019~2020
研究担当者 中本英里
発行年度 2020
要約 園芸経営において障がい者の作業環境を整備する際、「ユニバーサル農業」の実践やGAP(農業生産工程管理)を導入することにより、農作業等の工程が整理・細分化され、障がい者の業務分担が拡大するとともに、営農における作業体制が改善される。
キーワード 障がい者雇用、ユニバーサル農業、GAP、作業工程細分化、業務分担
背景・ねらい 障がい者が働ける雇用の場を農業分野で拡大するためには、農業に含まれる多様な作業工程を整理・細分化し、障がい者の特性に応じて適切に業務分担する必要がある。その方法の一つとして、「ユニバーサル農業」の実践とともに、GAP(農業生産工程管理)を導入することが有効である。本研究では、園芸経営における作業工程細分化の実態と、障がい者の業務分担の変化を、業務カテゴリ数と労働時間ベース分担量の観点から把握し、「ユニバーサル農業」とGAPの効果を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.水耕栽培施設130aにおいてネギ、ミツバ、チンゲンサイを生産し、「ユニバーサル農業」を実践している先進事例では、作業工程の細分化や作業指示の明確化により、直接雇用で24人、外部委託で約20人と、多数の障がい者の就労機会を創出していることが分かる(表1)。
2.多様な作業者が複数、同時に作業に従事する環境では、作業現場でのルールを明確化させ、効率向上と併せて作業事故・作業ミスを回避させる必要がある。GAPは、その対応策として有効であるとともに、「ユニバーサル農業」の取組を補強する効果も有している(表2)。先進事例では、JGAP導入により、生産計画の文書化や、労働安全面および環境保全面の取組等を通して、作業体制の見直しや作業マニュアルの充実化、多面的な視点による作業工程の細分化を実現している。
3.ネギ生産では、「ユニバーサル農業」の実践とJGAP導入により、業務カテゴリ数が24工程から29工程に細分化し、障がい者の業務分担は2工程から12工程に増え(表3)、年間延べ労働時間も拡大している(図1)。
4.障がい者の業務分担の拡大と並行して、障がい者以外の作業者の業務分担が変化することで、経営者の業務分担の減少が期待できる(表3)。
成果の活用面・留意点 1.障がい者の雇用を検討している農家等において、営農現場で障がい者を受け入れる際の作業環境整備のポイントと、障がい者雇用によって得られる効果を把握する際に活用できる。
2.「ユニバーサル農業」とは、「障がい者・高齢者などを含むすべての多様な人々が従事できる農業」と定義される場合が多いが、本事例では、作業工程の細分化や作業指示の具体化といった福祉分野で蓄積された支援手法を農業現場に適用させ、障がい者の就労機会拡大と併せて農業経営の強化を目指すものとして認識し実践されている。
3.本事例は、JGAP導入事例であるとともに、水耕栽培施設におけるネギ生産のための作業環境整備の取組とその成果の一端であり、GAPの種類、作目、栽培方法に応じて作業工程の細分化は一様ではない。
図表1 244569-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/warc/2020/warc20_s06.html
カテゴリ 経営管理 水耕栽培 チンゲンサイ ねぎ みつば

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