タイトル | ブタリンパ球細胞表面抗原(白血球表面マーカー)は採血2日後まで測定可能 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門 |
研究期間 | 2018~2019 |
研究担当者 |
兼松伸枝 小林洋介 田島清 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 家畜の健康状態を数値化する指標として有効なブタリンパ球の細胞表面抗原マーカーは採血2日後まで採血日の測定と同様の値が得られる。冷蔵保存血液移送後にフローサイトメーター測定する方法が可能となる。 |
キーワード | 豚、CDマーカー、リンパ球サブセット、フローサイトメトリー |
背景・ねらい | 適正な飼育環境やアニマルウェルフェアの基準、あるいは畜産製品の安全性や付加価値を提示するため、家畜の健康状態を具体的に数値化できる指標がより求められている。リンパ球は細胞表面抗原(白血球表面マーカー)測定により免疫やストレスの状態を把握することが可能だが、採血当日の測定が原則であり、測定機(フローサイトメーター)へのアクセスが良くない場合には測定不可能と考えられてきた。 そこで本研究では、一般的な冷蔵庫(4°C)で保存した末梢血が採血何日後まで測定可能か明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.頸静脈よりEDTA真空採血管へ採血し、測定した各マーカー(CD3、CD4、CD8、CD21、γδT、CD335)の末梢血リンパ球中に占める割合は、全ての陽性細胞において、採血3日後に有意な低下が認められる(表1)。 2.CD4陽性細胞とCD335陽性(ナチュラルキラー;NK)細胞では採血翌日に有意な増加がみられる。CD3、CD8、CD21、γδT陽性の各細胞については、採血当日から2日後までの値に差はない。 |
成果の活用面・留意点 | 1.採血翌日にCD4 とNK抗体陽性細胞の比率が増加したことについて検証の必要が残るが、採血日と測定日の間隔を一定とすることにより、実験処置前後の値を比較することが可能である。 2.フローサイトメーターでのリンパ球サブセット測定が発展しデータが蓄積されると、健康指標としてだけでなく、病態との関連解析や診断への応用が可能となり、家畜衛生分野へ大きく寄与する。 3.測定した6種の抗体はαβT細胞(CD3+CD4+、CD3+CD8+)、γδT 細胞、B 細胞(CD21+)、およびNK細胞を同定するものであり、一般的な健康指標として用いられるリンパ球は包含している。これらの細胞の割合に対しCD4陽性細胞とNK 細胞の増加は影響しなかったと考えられるため、今回測定していない細胞群の割合が減少した可能性が高い。 4.血球の破壊を促進しないよう出来る限り振動を抑えた運搬が必要である。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2020/nilgs20_s09.html |
カテゴリ | 飼育技術 豚 |