タイトル | サーチライトトラップを用いたハスモンヨトウによるダイズ被害の予察 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農業技術革新工学研究センター |
研究期間 | 2016~2020 |
研究担当者 |
大塚彰 松村正哉 徳田誠 |
発行年度 | 2020 |
要約 | サーチライトトラップのハスモンヨトウ成虫の誘殺数のピークは次世代1齢幼虫によるダイズ被害葉数のピークより平均で5.3日早く出現し、誘殺数の積算値は被害葉数の積算値と線形の関係があるため、発生予察の基礎データとして活用できる。 |
キーワード | ダイズ、ハスモンヨトウ、被害葉、発生予察、分散 |
背景・ねらい | 九州北部の平野部は主要なダイズ産地の一つであるが、例年ハスモンヨトウが葉に産卵し、幼虫による葉の食害がみられる。ガ類害虫の発生予察には、オス成虫を誘引するフェロモントラップを用いることが一般的であるが、ハスモンヨトウの場合、フェロモントラップの誘殺数の増加は被害葉数の増加に先行する場合もあれば遅れる場合もあり、発生予察の指標として利用するのは難しい。そこで、生産現場では、実際に被害葉が発生した後にその被害程度を圃場で調査することで防除の要否と時期を決定している。したがって、これらの作業を軽減しつつハスモンヨトウによるダイズ被害の発生を的確に予察する技術が求められている。 ハスモンヨトウは飛翔能力が高く長距離移動性や分散性を示すため、本研究では上空を飛翔する昆虫を誘殺できるサーチライトトラップを用いてその分散侵入を調査し、ダイズ圃場での被害葉数の推移と比較してトラップの発生予察における有効性を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.サーチライトトラップは、直径1.2mの大型漏斗の中に1000ワットの光源を設置し、可視光の明るく細いビームを鉛直上方放射して虫を誘引する (図1)。 2.サーチライトトラップによるハスモンヨトウ成虫の誘殺数のピークは被害葉のピークに平均5.3 日先行して出現する。被害が発生する前にその原因となる虫の侵入を把握できるため、被害の発生時期を予察できる(図2)。 3.誘殺数の積算値と被害葉数の積算値は線形の関係(図3)があるため、誘殺数の積算値からダイズの被害程度を予測できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.この研究は手法開発の初期の試験として1地点3年次の調査を行った結果である。そのため数十kmスケールの産地全体を効果的にモニタリングするための必要な調査地点数の解明、簡便なサンプル分別方法の開発など、今後社会実装に向けた課題を検討する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/iam/2020/iam20_s04.html |
カテゴリ | 害虫 大豆 フェロモン 防除 モニタリング |