水稲再生作では前作稲収穫前後の土壌乾燥が再生稲の収量性を高める

タイトル 水稲再生作では前作稲収穫前後の土壌乾燥が再生稲の収量性を高める
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2016~2020
研究担当者 白木秀太郎
山岡和純
THINMar Cho
KHINMar Htay
発行年度 2020
要約 ミャンマーの熱帯地域では、前作稲収穫前後4週間を土壌乾燥条件で水管理した再生稲の籾収量は、飽和条件で水管理した場合に比べて50%以上増加する。また、前作収穫後に行う再生作のための追加的な株刈りには増収効果は認められない。
キーワード 水稲再生稲 株刈り 土壌水分管理 ミャンマー
背景・ねらい 再生稲による水稲二期作栽培(本作+再生作)は、育苗、代かき・田植えを必要としないため慣行の水稲二期作に比べて、労働コスト・時間、種子等の生産コストを削減できること、単位水量当たりの年間収量が増加すること、さらに、温室効果ガス(CO2、N2O、CH4)の削減に貢献できる栽培体系であることが報告されている(Firouzi et al. 2018等)。しかし、再生稲の単収は慣行移植栽培による本作に比較して40~60% (Santos et al. 2003)に留まることから、商業規模の栽培は限定され、ほとんどは本作の補充栽培として実施されている(Wang et al. 2019)。近年、インドネシア国西スマトラ州において、Erdimanら(2014)により本作と同レベルの収量(6~7 t ha1)を連続的に繰り返す多年生稲栽培(現地名SALIBU)が報告された。そこで本研究では、水稲再生作の増収要因を探索するため、SALIBU栽培管理における特徴的な株二回刈り(図1上)と収穫前後の土壌水分管理(図1下)に着目し、熱帯地域であるミャンマー・ネピドーにおいてコンクリートタンク栽培試験(図2)を行い、これら栽培管理が再生稲の収量性に及ぼす影響を検証する。
成果の内容・特徴 1.コンクリートタンクを用いた再生稲による水稲二期作(本作+再生作1、栽培期間2019/2~8月)および三期作(本作+再生作2+再生作3、栽培期間2019/9~2020/5月)試験において、前作の収穫前後約4週間の3つの土壌水分処理区(飽和、湿潤、乾燥)および2つの株刈り区(一回刈り、二回刈り)における再生稲3作の分げつ再生率および籾収量を比較する。
2.各水分処理区の約4週間の土壌水分張力と酸化還元電位の平均値はそれぞれ飽和区が0 kPa、200 mV、湿潤区が11 kPa、200 mV、乾燥区が19 kPa、550 mVであり、土壌が乾燥するほど分げつ再生率および籾収量が有意に増加する(図3および図4)。
3.株二回刈り(収穫時の株高30~40 cmの刈取りと再生作のための株高5 cmの追加刈り)と株一回刈り(収穫および再生作のための株高 5 cmの刈取り)の籾収量の差から株二回刈りに増収効果は認めらない(図4)。追加刈りの作業コストに見合う増収がなければ、再生作の株刈りは収穫時の株高 5 cmの一回刈りとなる。
4.土壌を乾燥させる水管理は、易分解性窒素化合物の増加と無機態窒素の供給の促進、ならびに土壌酸化条件による根の呼吸の活性化を通じ、再生稲生育初期の根圏環境を改善し、再生稲の増収に貢献すると考えられる。
成果の活用面・留意点 1.排水管理が容易なコンクリートタンクの試験結果であり、水田圃場において再生稲の収量性を高める土壌水分管理には、排水路整備などの排水対策を検討する必要がある。
2.前作収穫前後の水管理(灌漑水量・頻度・期間)は、気温、降雨量や水田土壌の保水性、また、再生稲の生育を考慮して行う必要がある。
図表1 244803-1.png
図表2 244803-2.png
図表3 244803-3.png
図表4 244803-4.png
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_a04
カテゴリ 育苗 乾燥 コスト 栽培技術 栽培体系 水田 水稲 水管理

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