西アフリカ天水稲作の各農業生態域区分に最適なリン鉱石直接施用頻度

タイトル 西アフリカ天水稲作の各農業生態域区分に最適なリン鉱石直接施用頻度
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2009~2021
研究担当者 中村 智史
南雲不二男
飛田哲
福田モンラウィー
神田隆志
ISSAKARoland
DZOMEKUIsrael K.
BURIMoro
ADJEIEric O.
AVORNYOVincent K.
AWUNI Joseph A.
BARRO Albert
JONAS Dambinga
発行年度 2020
要約 西アフリカ天水稲作に対する低品位リン鉱石直接施用効果は、1年目には農業生態域区分の違いで顕著な差異が認められる。全ての農業生態域で前年に施用したリン鉱石の残効が期待され、残効の大小によりそれぞれ最適な施用頻度が異なる。
キーワード ガーナ ブルキナファソ リン鉱石 天水稲作 農業生態域区分
背景・ねらい 農業等で利用され海洋に流れ込んだ多くのリンが回収不能であるように、リンは環境に放出されると再利用が難しい有限の資源である。リンの効率的な農業利用に向けた取り組みが国際的に行われており、アフリカにおいては、安価なリン資源として地域産のリン鉱石の利用拡大が期待されている。しかし、アフリカに分布するリン鉱石は石英や鉄・アルミニウム等の夾雑物を多く含み、また可溶性が低いことから低品位とされ、十分に利用されていないため、焼成により可溶性向上が検討されてきた(令和元年度国際農林水産業研究成果情報A06「アフリカ産低品位リン鉱石は炭酸カリウム添加焼成により肥料化できる」)。一方で、低品位リン鉱石の直接的な施用は、溶解が促進される水稲作での有効性が期待されるが、アフリカにおける天水稲作の栽培環境は多様であり、その施用効果は一様ではないと考えられる。そこで西アフリカの天水稲作を対象とし、異なる農業生態域区分におけるリン鉱石直接施用の効果を経年調査し、栽培環境それぞれのリン鉱石利用効率を考慮した最適施用頻度を提案する。
成果の内容・特徴 1.調査地は、西アフリカの天水稲作の栽培環境を代表する3つの農業生態域区分(AEZ)であるスーダンサバンナ帯(SS)、ギニアサバンナ帯(GS)、ならびに赤道森林帯(EF)に位置する農家圃場である。各AEZにおける天水田表層土壌の化学性を表1に示す。
2.各AEZの天水稲作圃場において、リン無施用区(NK)、ブルキナファソ・コジャリ産の低品位リン鉱石直接施用区(PR)、化学肥料である重過リン酸石灰施用区(TSP)を設定する。PRでは、リン鉱石を粉砕したリン鉱粉を使用する。各処理区は、2年目にリン継続施用区と残効区に分割し、3年目を共にリン無施用区とし(図1)、リンの毎年施用、隔年施用などの施用頻度の変化がイネ収量におよぼす影響を調査する。
3.各処理区における一回のPR施用量はリン酸量として同量(135 kg P2O5 ha-1)とし、窒素およびカリウムは各AEZの推奨施用量とする。
4.PR施用区とTSP施用区の収量比(RY)は、1年目の施用では年間降水量の差異にともない、SS < GS <EFの順に高くなる(図2)。
5.調査した施肥頻度の組み合わせから、各農業生態域区分におけるリン鉱石直接施用の最適施用頻度として、リン利用効率が高く、かつTSP区に対する相対農学的効率(RAE)が高いものを選択する。SSおよびGSでは「2年継続施用+1年残効」、EFでは「1年施用+2年残効」は、それぞれリン鉱石施用量が最小限で、毎年施用と同程度の収量が得られる(表2)。
成果の活用面・留意点 1.本試験は、SSおよびGSは氾濫原、EFは内陸小低地における試験結果をもとにしており、地形要因などにより、低品位リン鉱石の直接施用効果が変動する可能性がある。
図表1 244809-1.png
図表2 244809-2.png
図表3 244809-3.png
図表4 244809-4.png
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_a10
カテゴリ 肥料 水田 水稲 施肥

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