汎用小型ドローンから陸稲圃場のイネと雑草を高精度で判別できる

タイトル 汎用小型ドローンから陸稲圃場のイネと雑草を高精度で判別できる
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2016~2020
研究担当者 川村健介
浅井英利
PHONGCHANMIXAYSengthong
発行年度 2020
要約 オブジェクトベース画像解析は、画素値の類似したピクセルの集合を1つのセグメントとし、セグメント単位で分類する高解像度画像に適した手法である。同手法を用いて、陸稲圃場のドローン空撮画像を解析することで、イネ・雑草・土壌を高精度で分類でき、圃場内の雑草の空間分布を迅速に把握することで、除草作業の効率化が期待できる。
キーワード オブジェクトベース画像解析 雑草管理 ドローン ラオス
背景・ねらい 雑草の防除は、ラオスの主要作物である陸稲の生産性向上において重要な課題であり、雑草の早期発見と迅速な除草処理が必要である。その解決策として、ドローンによる圃場の空撮画像を用いた雑草検出が有効であるが、陸稲を対象とした知見は乏しく、農家圃場で活用できる実用的な雑草の検出方法は無い。このため、汎用性の高い小型ドローンでラオスの陸稲試験圃場を撮影した一般的なRGB (Red-Green-Blue)カラー画像から、オブジェクトベース画像解析によって迅速かつ高精度にイネと雑草を判別する手法を開発する。
成果の内容・特徴 1.ラオスの陸稲試験圃場(畝間25cm×25cm)において、播種後29日目に汎用小型ドローン(DJI Phantom 4)により飛行高度20m(地上解像度1cm)で撮影し、RGBカラー画像から色変換したHSV(Hue-Saturation-Brightness)画像と空間変異を示すテキスチャ(Texture)を計算する。教師データとして、目視判別でRGBカラー画像上からイネ、雑草、土壌の位置情報を収集する。オブジェクト画像解析では、まず画像をSLIC(Simple Linear Iterative Clustering)法で類似する画素値ごとに領域分割(セグメンテーション)を行い、教師データを用いて分類クラス(イネ、雑草、土壌)のセグメント内から統計値を抽出し、それらを説明変数としたランダムフォレスト法で分類する(図1)。
2.オブジェクトベース画像解析により、ラオスの陸稲栽培地で優占するキク科やマメ科を主とした雑草とイネを90%以上の正答率で分類でき(表1)、それらの空間分布を迅速に把握できる(図2)。
3.土壌はHSV画像の色情報のみを使用した場合でも99.0%の再現率で分類できるが、さらにテキスチャ情報を追加することでイネと雑草の分類精度が向上する(表1)。
4.ドローンから分類したイネ・雑草・土壌の被覆率は除草処理後1、17、34日で異なることから(図3)、除草後の時間経過に従って雑草が繁茂する状況を定量的に把握できる。
成果の活用面・留意点 1.雑草の分布情報の迅速推定を通じ、生産農家は圃場内の雑草繁茂状況を早期に把握し、適切な雑草管理(除草処理)を行うための基礎情報として活用できる。
2.同手法を応用すれば、実際の除草作業を行わずに画像上から雑草の影響を除去することができ、空撮画像によるイネ生育診断の精度向上と効率化が期待できる。
3.ドローンの飛行高度を上げると、広域を短時間で撮影できるが、画像の地上解像度は低下し、それにともない分類精度も低下するため、利用目的に合った飛行計画を立案する必要がある。
4.形態の類似する雑草種(イネ科雑草など)では分類精度が低下する可能性がある。
図表1 244827-1.png
図表2 244827-2.png
図表3 244827-3.png
図表4 244827-4.png
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_c05
カテゴリ カラー きく 雑草 除草 ドローン 播種 ブロッコリー 防除 陸稲

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