ハイガイ養殖漁場管理のための簡便な生物指標の開発

タイトル ハイガイ養殖漁場管理のための簡便な生物指標の開発
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2016~2020
研究担当者 TEOHHong Wooi
齊藤肇
発行年度 2020
要約 東南アジアで生産量が激減しているハイガイの養殖漁場を適切に管理するため、二枚貝の成育状態の指標である丸型指数及び肥満度をハイガイに活用できるよう改善し、ハイガイの成育状態及び漁場環境を簡便に評価するとともに、養殖漁場を管理するための科学的根拠を提案する。
キーワード ハイガイ 養殖漁場管理 丸型指数 肥満度
背景・ねらい アカガイの近縁種であるハイガイTegillarca granosa(図1)はミネラル・ビタミン等を多く含み、東南アジア住民の栄養バランスの観点からも非常に重要な水産資源である。しかしながら近年は沿岸環境の悪化に伴って生産量が激減しており、資源回復への対策及び適正な養殖漁場の管理が求められている。そこで、二枚貝の成育環境の指標となる丸型指数及び肥満度をハイガイに適用できるよう改善するとともに、現地で簡便に測定する手法を確立することにより、ハイガイ養殖漁場及び成育環境の適正評価を行う。また、評価結果に基づき、養殖漁場区域の変更や早期収獲などの適切な漁場管理を提言するための科学的根拠とする。
成果の内容・特徴 1.同サイズの個体間での比較しかできなかったアサリ用の丸型指数(殻幅/殻長)に対して、アロメトリー式を利用してサイズ依存項を除去した修正丸型指数(図2A、式1)は、サイズに依存せずに二枚貝の成長の良否を比較できる。
2.二枚貝の生理的状態の指標である肥満度(軟体部重量/全重量)の軟体部重量を(全重量-殻重量)に置き換え、殻重量は殻幅とのアロメトリー式から推定することにより、貝殻を開けず簡便に肥満度を推定できる(図2B、式2)。
3.ハイガイの修正丸型指数は漁場ごとに異なり(図3)、修正丸型指数と簡便な肥満度測定法は、マレー半島西海岸におけるハイガイ養殖漁場の環境評価に活用できる(図4)。同一漁場内において、修正丸型指数が増加するとハイガイの成長不良が進行中と解釈できるため、養殖漁場の場所替えが推奨される。一方、肥満度が減少すると、肉質部が痩せ始めていることが示唆されるため、早期の収獲が推奨される。
成果の活用面・留意点 1.修正丸型指数及び肥満度は、ノギスと重量計で殻長・殻幅・全重量の3変数を計測するだけで簡単に計算できるため、養殖業者や水産局職員等が容易に活用でき、養殖漁場のモニタリングを実施できる。
2.漁場環境の変化を早期に把握するためには、定期的にモニタリングを実施し、データを集約するシステム構築が重要である。
3.修正丸型指数は死殻にも適用できるため、貝殻標本があれば過去の漁場環境についても推測することが可能である。
図表1 244832-1.png
図表2 244832-2.png
図表3 244832-3.png
図表4 244832-4.png
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_c10
カテゴリ シカ 評価法 モニタリング

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