タイトル | 暑熱下での飼料用玄米給与によるブロイラー肥育前期の成長改善効果と免疫反応への影響 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門 |
研究期間 | 2018~2020 |
研究担当者 |
原文香 大津晴彦 山崎信 平川達也 佐藤幹 村上斉 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 暑熱環境下において、玄米配合飼料の給与によりブロイラーの成長改善効果および免疫反応への影響が認められ、玄米は暑熱環境下においてもブロイラーの飼料原料として有用である。 |
キーワード | ブロイラー、暑熱ストレス、玄米、免疫反応 |
背景・ねらい | 持続可能な畜産実現のため、国産自給飼料原料を活用し飼料自給率向上する取り組みが進んでいる。家禽産業では、飼料原料として飼料用米の利活用が進んでいる。飼料用米はγ-オリザノールやビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)等の抗酸化・抗ストレス作用を持つ機能性成分を含有し、その給与により鶏のストレス低減と免疫機能亢進など健全性向上が期待できる。既に適温環境下における飼料用玄米の有効性については、従来のトウモロコシ主体飼料と比較して同等の成長を示すことが分かっているが、暑熱環境下における有効性の検討は十分ではない。本研究では、暑熱環境下のブロイラーへの玄米配合飼料給与が飼養成績および免疫反応に及ぼす影響を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 12日齢のブロイラー雄(ROSS系)40羽を供試し、トウモロコシ主体の対照飼料もしくはトコトリエノールの高含有飼料用品種「オオナリ」の玄米主体飼料(表1)を給与する。暑熱感作は飼料給与開始7日目(19日齢)から33°C、14日間、各飼料給与群の半数(n=10)に対して行う。なお、対照温度条件は24°Cとする。 2. 暑熱環境下では、増体量と摂取量の著しい低下が認められる(表2)。対照飼料給与と比較して、玄米配合飼料の給与は、鶏の増体重および飼料効率を改善する(表2)。 3. 暑熱環境下では、血中の免疫グロブリン(Ig)M濃度が増加し脾臓のヒートショックプロテイン(HSP)70mRNA発現量は増加、HSP90mRNA発現量は低下する(表3)。玄米配合飼料給与により、血中IgM濃度は減少傾向にあり、脾臓のB細胞活性化因子、HSP70、HSP90のmRNA発現量は低下する(表3)。玄米配合飼料の給与は免疫反応を抑制する可能性が示唆される。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 玄米配合飼料給与は、適温環境下だけでなく暑熱環境下においても、ブロイラー肥育前期の成長を改善し、飼料用玄米はブロイラーの飼料原料として有用である。 2. 暑熱環境下における家禽の免疫反応の基礎的知見として、ストレス制御および栄養学的制御研究に応用できる。 3. より長期的な暑熱曝露の影響や出荷日齢まで肥育した場合の影響については、今後の検討課題である。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nilgs/2021/nilgs21_s14.html |
カテゴリ | 機能性成分 出荷調整 飼料効率 飼料用米 飼料用作物 とうもろこし 鶏 品種 |