タイトル | アミノ酸バランス改善飼料および鶏ふん焼却熱利用時のブロイラー生産の環境影響 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門 |
研究期間 | 2019~2021 |
研究担当者 |
荻野暁史 長田隆 大石風人 瀬戸口暁 |
発行年度 | 2021 |
要約 | アミノ酸バランス改善飼料と鶏ふん焼却熱の鶏舎暖房利用により、慣行飼料・鶏ふん堆肥化の場合と比較したLCAの結果、ブロイラー生産の温室効果ガス排出量を16%、酸性化への影響を48%、富栄養化への影響を24%、エネルギー消費量を15%、それぞれ削減できる。 |
キーワード | ブロイラー、アミノ酸バランス改善飼料、鶏ふん焼却熱利用、温室効果ガス、LCA |
背景・ねらい | 社会において持続可能な生産が求められるようになってきており、畜産でも環境調和型の生産方法の検討が必要である。ブロイラーにおいては、飼料中粗蛋白質含量を下げると同時に不足するアミノ酸を結晶アミノ酸添加で補ったアミノ酸バランス改善飼料 (バランス飼料)を用いた窒素排せつ量の低減が検討されている。またブロイラーは敷料の上で飼養され、出荷時に搬出されるふんと敷料の混合物は飼養中に乾燥が進み水分含量が低下しているため、焼却に適している。 そこで本研究では、我が国のブロイラー生産において、慣行飼料と鶏ふん堆積発酵を行う場合 (「慣行」)、バランス飼料のみ導入する場合 (「バランス」)、鶏ふん焼却熱利用のみ導入する場合(「熱利用」)、バランス飼料と鶏ふん焼却熱利用の両方を導入する場合 (「バランス+熱利用」)の環境影響をライフサイクルアセスメント (LCA)により評価する (図1)。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「慣行」のCO2換算 (CO2e)の温室効果ガス排出量は、出荷生体重1kgあたり1.86kgである。「熱利用」では、鶏ふん焼却熱の暖房利用による化石燃料使用量とそれに伴うCO2排出量を低減する効果が大きく、「慣行」と比較して温室効果ガス排出量が低い (図2)。 2. 「慣行」のSO2換算 (SO2e)の酸性化への影響およびPO4換算 (PO4e)の富栄養化への影響は、出荷生体重1kgあたりそれぞれ52.6gSO2eおよび18.3gPO4eである。堆積発酵の過程では多くのアンモニアが排出され、「バランス」ではアンモニアの排出源である窒素の排せつ量が低減されるため、「慣行」よりも酸性化および富栄養化への影響が小さい (図3)。 3. 「慣行」のエネルギー消費量は、出荷生体重1kgあたり18.8MJである。「熱利用」では、鶏ふん焼却熱の暖房利用による化石燃料使用量を低減するため、「慣行」と比較してエネルギー消費量が小さい (図4)。 4. 「バランス+熱利用」は「慣行」と比較して、温室効果ガス排出量が16%、酸性化への影響が48%、富栄養化への影響が24%、エネルギー消費量が15%、それぞれ小さい。 |
成果の活用面・留意点 | 1. .評価の対象範囲は、ブロイラーを農場から出荷する段階までであり、飼料生産・飼料輸送・飼養管理・ふん尿処理の各プロセスを含む。評価項目は、GHG排出量 (CO2、CH4、N2O)、エネルギー消費、酸性化、富栄養化である。環境影響評価に必要なデータは、統計情報や文献により取得し、環境負荷係数等については日本国温室効果ガスインベントリ等の文献値を用いている。 2. バランス飼料は、結晶アミノ酸としてメチオニン、リジン、トレオニンを添加し、慣行飼料と比較してCPを前期で21.7%から20.6%へ、後期で19.5%から16.8%へ、それぞれ下げている。 3. 各ブロイラー生産システムの特徴、用いた環境負荷発生係数等、詳細については発表論文を参照されたい。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nilgs/2021/nilgs21_s04.html |
カテゴリ | 乾燥 飼育技術 出荷調整 鶏 輸送 |