豚熱とアフリカ豚熱の同時診断が可能な新しい遺伝子検査法

タイトル 豚熱とアフリカ豚熱の同時診断が可能な新しい遺伝子検査法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動衛研
研究期間 2020~2021
研究担当者 國保健浩
西達也
吉崎美和
中筋愛
発行年度 2021
要約 本検査法は、検体から核酸を精製することなくRNAウイルスである豚熱ウイルスとDNAウイルスであるアフリカ豚熱ウイルスに由来する遺伝子の同時検出を可能としたリアルタイムPCR法である。両法定伝染病の迅速、高精度な検査に有効である。
キーワード 豚熱、アフリカ豚熱、核酸精製不要、同時検出、リアルタイムPCR法
背景・ねらい 豚熱(CSF)は2018年に26年振りとなる発生が国内で確認された後も終息を見ることなく続発しており、都道府県の家畜保健衛生所等では豚や野生イノシシにおける疑い事例の検査が急速に増加している。他方、現在世界的な流行を見せるアフリカ豚熱(ASF)についても国内侵入への警戒を強める必要がある。両法定伝染病を臨床所見から識別することは困難なため、個別の遺伝子検査が並行して行われているが、煩雑かつ長時間を要することから、迅速な防疫措置の実施の観点から検査工程の飛躍的な改善による検査の迅速化と簡素化が求められている。
本研究で開発した検査法は、簡易な前処理方法ならびに夾雑物による阻害を受けにくいPCR酵素を採用し、核酸精製工程を要せずにリアルタイムPCR法に基づいた迅速・簡便なCSFおよびASFの同時検査を可能とする。
成果の内容・特徴 1. 本検査試薬群は、前処理試薬(粗抽出試薬)、PCR試薬および陽性対照DNAによって構成される(図1)。豚またはイノシシ由来の新鮮な血清あるいは組織乳剤を検体として本検査に供した場合、1回のPCR反応で概ね2時間以内にCSFおよびASFの両遺伝子検査が完了する。これは、現在それぞれ約6時間ずつを要しているコンベンショナルPCR法による検査の時間を66%以上短縮できることを示している(図2)。
2. 使用する機器の検出器の特性の違いにより、2種類のPCR試薬から1種類が選択できるため、普及性の向上が図られている。
3. 本検査の感度(陽性検体の検出率)は、現行のコンベンショナルPCR法によるCSFおよびASFそれぞれの検査感度と一致する。
4. 本検査は、検査の迅速化だけではなく、煩雑な検体の前処理における試料間の交差汚染や検体の取り違えリスクの低減を可能とする。また、本試薬にはウラシル分解酵素が添加されており、陽性対照試料等の増幅されたPCR産物の不測の混入による誤判定のリスクも抑制できる。
成果の活用面・留意点 1. 普及対象:都道府県家畜保健衛生所およびそれらが認定する民間検査機関、動物検疫所、動物医薬品検査所、国立環境研究所等
2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国
3. その他:本法は「豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針」および「アフリカ豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針」に収載される「遺伝子検出検査」に適合している。令和3年11月1日より、タカラバイオ株から発売を開始している(農研機構プレスリリース、2021年11月1日付)。
図表1 248970-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/niah/2021/21_003.html
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