タイトル | 子実生産にも利用できる耐倒伏性の飼料用トウモロコシ新品種「みとりゆたか」 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 | 2013~2020 |
研究担当者 |
佐藤尚 黄川田智洋 伊東栄作 藤原崚 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 「みとりゆたか」は子実生産用、および乾雌穂重割合が高いことから高栄養なホールクロップサイレージ原料用として利用できる。耐倒伏性、すす紋病、およびごま葉枯病に強く、赤かび病抵抗性は既存品種と同程度である。北海道の道央中部、道央南部、道南地域、および東北に適する。 |
キーワード | トウモロコシ、品種、子実、ホールクロップサイレージ、倒伏 |
背景・ねらい | トウモロコシはホールクロップ用のほか、近年では濃厚飼料の高騰からトウモロコシを自給濃厚飼料として利用するイアコーンや乾燥子実生産が注目され、その取り組みが行われている。ホールクロップ収量は茎葉と雌穂をあわせたものであること、収穫時期は子実の登熟途中であることから、ホールクロップ収量と完熟期に収穫する子実用の収量との間には収量性の序列が一致しないことも多い。また、登熟期間が長くなる子実生産用栽培ではかび毒低減の重要性がより高いことから、これまで以上に赤かび病抵抗性が重要となっている。そこで飼料用トウモロコシ生産に重要であるすす紋病などの葉枯性病害抵抗性や耐倒伏性のほか、赤かび病抵抗性があり、子実生産およびホールクロップ生産にも利用できる品種を育成する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「みとりゆたか」(写真1)は、種子親を「Ho112」、花粉親を「Ho125」とする単交雑一代雑種である。「Ho112」はデント系列自殖系統、「Ho125」はフリント系列自殖系統でいずれも北海道農業研究センター育成である。 2. 絹糸抽出期は標準品種「36B08」より2日早く、ホールクロップ収穫時の雌穂の熟度はやや進む(表1)。ホールクロップ収穫時の総体乾物率は「36B08」より1.1ポイント高く、子実収穫時の子実含水率は「36B08」より1.3ポイント低い(表2)。北海道でのホールクロップ用の早晩性は標準品種「36B08」と同じ"中生の晩"である。 3. 稈長は「36B08」より高く、着雌穂高は「36B08」並である(表1)。 4. ホールクロップ収穫時の乾物総重は「36B08」比100%、推定TDN収量は「36B08」比102%である。乾雌穂重割合は「36B08」より約5ポイント高く、乾物中TDN割合は「36B08」より1.5ポイント髙い。子実収穫時の乾子実収量は「36B08」比103%である(表2)。 5. 耐倒伏性が強い「36B08」に比べて倒伏個体率は少なく、折損個体率は並で倒伏個体率と折損個体率の合計は並であり、耐倒伏性は強い(表1)。 6. 特性検定試験におけるすす紋病抵抗性は"極強"であり、ごま葉枯病抵抗性は"かなり強"である。赤かび病接種検定の発病面積率は「36B08」並である。根腐病の罹病個体率は「36B08」より高い(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 北海道の道央中部、道央南部、道南地域、および東北において、子実生産用および高栄養なホールクロップサイレージ原料用として利用できる。 2. 根腐病抵抗性は強くないと思われるため、常発地帯での栽培は避ける。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/harc/2021/harc21_s07.html |
カテゴリ | 乾燥 ごま 飼料用作物 新品種 抵抗性 とうもろこし 根腐病 病害抵抗性 品種 |