タイトル | キュウリの食感に関与するQTL |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門 |
研究期間 | 2012~2020 |
研究担当者 |
下村晃一郎 杉山充啓 川頭洋一 吉岡洋輔 |
発行年度 | 2021 |
要約 | シャキシャキ・パリパリといった擬音語で表現されるキュウリの食感"クリスプネス"には複数のQTLが関与する。そのうち、第3染色体上には、栽培年次や交配組み合わせが異なる3集団に共通してクリスプネスに関与するQTLが検出され、クリスプネスの選抜に高い効果を有する。 |
キーワード | キュウリ、定量的評価法、クリスプネス、食感、QTL |
背景・ねらい | 食感はおいしさを決める要素のひとつとして重要な形質である。キュウリの食感については、果実の硬さとともにシャキシャキやパリパリなどの擬音語で表現されるクリスプネスが重要であるが、詳細な遺伝様式は明らかになっていない。そこで、高いクリスプネスと低いクリスプネスを有するキュウリ品種・系統を両親とするF2集団について合計3集団を供試して、硬度とともにクリスプネスに関与するQTLを明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 高いクリスプネスの日本品種「アンコール10」固定系と低いクリスプネスの系統CS-PMR1を両親とする、116個体(2012年)および128個体(2014年)のF2集団と、「アンコール10」固定系と低いクリスプネスの海外品種「Atar」固定系を両親とする163個体(2016年)のF2集団の合計3集団について、それぞれ382、607および496のDNAマーカーで連鎖地図を作成すると、3集団ともキュウリの染色体と同数の7本に収束する。 2. 硬度および3種類のクリスプネスの指標値(2種類のフラクタル次元解析(Richardson plot、ボックスカウント法)およびクリスプネスインデックス)について3集団で解析すると、硬度については合計8個、クリスプネスについては合計25個のQTLが検出される。 3. 比較的大きな効果を持つQTLが、第1染色体および第3染色体に複数検出される。硬度では寄与率14~55%のQTLが第1染色体に、クリスプネス(フラクタル次元解析・ボックスカウント法)では寄与率18~19%のQTLが第1染色体に、寄与率20~22%のQTLが第3染色体に検出される(図1)。 4. 第3染色体のクリスプネスに関与するQTL領域には、硬度に関与するQTLが検出されなかったことから、硬度とクリスプネスは異なる遺伝子の支配を受ける(図1)。 5. 第3染色体のクリスプネスに関与するQTLは、栽培年次や交配組み合わせが異なる3集団に共通して検出され、比較的大きな寄与率を有することから、選抜の効果が高い領域である(図1、2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 果実の食感は栽培年次や環境に影響を受けることがあるため、指標値の年次変動等には留意する必要がある。 2. 果肉のクリスプネスに関与する第3染色体のQTLは、異なる栽培年次でも共通して検出されることから、「アンコール10」固定系と近縁な日本品種においてクリスプネス維持のための重要な領域と考えられる。 3. 果肉のクリスプネスに関与する第3染色体のQTL領域は、領域内のDNA配列情報を利用した選抜マーカーの開発に活用でき、高いクリスプネスを有する品種の効率的育成に貢献できる。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nivfs/2021/nivfs21_s03.html |
カテゴリ | きゅうり くり DNAマーカー 評価法 品種 |