再生稲の水分消費は、移植稲と比較して生育初期で大きく生育後期で小さい

タイトル 再生稲の水分消費は、移植稲と比較して生育初期で大きく生育後期で小さい
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2019~2020
研究担当者 白木 秀太郎 
THIN Mar Cho 
発行年度 2021
要約 これまでに報告事例のない水稲再生二期作の用水計画の策定に必要な再生稲の水分消費割合を明らかにする。再生稲の生育に応じた水分消費割合はその旺盛な分げつ特性により生育初期から放物線的増加を示すことから、移植稲と異なる用水計画の策定が必要となる。
キーワード 水稲再生作 水分消費割合 減水深 統計モデリング
背景・ねらい 再生稲による水稲二期作は育苗、代かき・田植えを必要とせず、また、再生作は本作に比べて生育期間が短縮することから、灌漑水量を削減できる作付け体系であることが報告されている。しかし、用水計画の策定に必要な再生稲の生育に応じた水分消費割合(基準蒸発量に対する蒸発散量の割合)はこれまで報告されていない。さらに、蒸発散量計測はライシメータ等の高額な機材が必要なため、特に途上国ではその水分消費割合の決定が難しい。そこで本研究では、連続計測はできないが簡易かつ高精度の水田減水深計測とその欠損データを内挿補間する統計モデリングの手法を組み合せて、再生稲の生育に応じた水分消費割合を算定する。
成果の内容・特徴 1. ミャンマーの熱帯地域における再生稲の水分消費割合の算定手順は、コンクリートタンク(幅 0.9 m × 長 1.8 m × 深 0.4 m)を用いて常時湛水下で再生稲による水稲二期作(本作+再生作)を年2作行い、イネ有・無しタンクにおける非降水時の日減水深(湛水深の日差)をそれぞれ蒸発散量と基準蒸発量とする。欠損値は実測値と気象データ、統計モデリングを用いてモデル推定し内挿補間する。そして、決定した蒸発散量と基準蒸発量から水分消費割合を算定する(図1)。
2. 本作に対する再生作の蒸発散量と基準蒸発量のそれぞれの割合は雨期作が59%と55%、冷涼乾期作が74%と82%であり、蒸発散量と基準蒸発量の割合はほぼ同等である(図2)。このことは、本作と再生作の蒸発散量の違いは主に作付期間の気候条件の違いに起因しており、ミャンマーの熱帯地域においては再生稲と同時期に栽培される移植稲の積算蒸発散量は大きく変わらないことを示唆している。
3. 移植稲(1本/株)の株当たり茎数は移植後から積算気温の上昇に応じて徐々に増加し、約1,600℃で最高分げつ期に達する。一方、残株から発芽する再生稲は生育初期からバラつきの大きい旺盛な分げつを示し、移植稲より株当たり茎数は2倍程度多い(図3)。
4. 移植稲と再生稲の分げつ形態の違いから、生育に応じた水分消費割合は移植稲がS字型、再生稲が放物線の増加曲線を示す。再生稲による水稲二期作では本作と再生作の水分消費特性の違いに留意して用水計画を策定する必要がある(図4)。
成果の活用面・留意点 1. 水田用水量の決定にあたっては、水分消費割合から推定した蒸発散量に加えて、水田の環境条件に応じた土壌浸透量、栽培管理用水量、有効雨量を考慮する。
2. イネの再生能は遺伝と環境要因の両方の影響を受けることが報告されていることから、様々な用水計画に対応するため、再生作の水分消費特性に関する研究の蓄積が期待される。
図表1 249151-1.png
図表2 249151-2.png
図表3 249151-3.png
図表4 249151-4.png
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2021_a02
カテゴリ 育苗 栽培技術 水田 水稲 ばら

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