タイトル | ラオス山地では植栽密度と立地選択によりチーク成長が倍増する |
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担当機関 | (国)国際農林水産業研究センター |
研究期間 | 2016~2020 |
研究担当者 |
今矢 明宏 VONGKHAMHO Simone 竹中 千里 山本 一清 山本 浩之 |
発行年度 | 2021 |
要約 | ラオス山間部では植栽密度のコントロールと植栽する斜面の形状や傾斜の選択によって人工林チークは肥大成長および伸長成長に倍程度の差異を持つことから、適地判定が重要である。凹形緩傾斜面の下部が適地として最も推奨され、密植は避けた方が成長がよい。 |
キーワード | ラオス チーク 立地 成長 適地 |
背景・ねらい | インドシナ半島の内陸部に広がる山地帯はインドとともにチーク天然材の産地であるが、天然林資源の枯渇と保護により人工林での生産が急務である。焼畑耕作地等へのチーク人工林の殖産においては、造林を成功させるとともに生産量の予測が必要である。インドシナ半島の中央に位置するラオス山地において植栽が進められている人工林チークの成長に係る因子を明らかにし適地判定手法の確立を図ることで、山間部における有効な土地利用と農家所得の向上が期待できる。 |
成果の内容・特徴 | 1. ラオス国ルアンパバン県南西部約30km×30kmの範囲にあるチーク人工林のうち20年生以上の27ヶ所において代表となる優勢木を3本ずつ、計81本のチーク個体を伐採し、樹幹解析(根元から樹木先端までを一定の間隔で輪切りにして、1本あたり平均17枚、合計1,374枚の円盤を作成し、年輪を読み取る)を行い、各チーク個体の林齢に伴う肥大成長および樹高成長過程を解析した結果に基づいている。 2. ラオス山地の人工林におけるチーク個体の肥大成長(図1左)および伸長成長(図1右)は植えられた場所によりそれぞれ2倍程度の差異がある。 3. チーク個体の肥大成長および伸長成長は、植栽される斜面の形状や傾斜の影響を大きく受ける(図2)。地形的には急斜面を避けるとともに、凸地よりも凹地が、斜面上部よりも下部が適地として推奨される。 4. 調査対象地では20年生を超えた時点における立木密度が約500~1,600本/haであったが、その範囲においては立木密度が低いほど肥大成長、伸長成長ともに良好となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. チークの適地判定手法は、利用した指標が現場において簡易な測器もしくは目測によって値の得られるものであることから、技術指導員等の養成により、容易に農家に普及可能である。 2. 肥大成長および伸長成長の予測式の出力を材積換算式に代入すればチーク収穫量の予測も期待される。 3. 気候や気象条件、地質や土壌条件の類似した地域(例えばタイ北部など)への拡大適用が期待されるが、そのためには検証調査による補正が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
研究内容 | https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2021_a08 |