タイトル | 西アフリカの群生相化したサバクトビバッタは産卵直前に雌雄が合流 |
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担当機関 | (国)国際農林水産業研究センター |
研究期間 | 2016~2025 |
研究担当者 |
前野 浩太郎 PIOU Cyril OULD ELY Sidi OULD MOHAMED Sid'Ahmed JAAVAR Mohamed El Hacen OULD BABAH EBBE Mohamed Abdallahi GHAOUT Saïd |
発行年度 | 2021 |
要約 | アフリカで大発生するサバクトビバッタの群生相化した成虫は、雌雄がそれぞれの性に偏った集団を形成しているが、日中、産卵直前のメスがオスの集団に飛来、交尾し、夜間に集団で産卵している。この行動特性を応用することで、集団形成の時間と場所を特定でき、使用する農薬の量の軽減が期待できる。 |
キーワード | 交尾行動 サバクトビバッタ サハラ砂漠 西アフリカ |
背景・ねらい | サバクトビバッタ(Schistocerca gregaria、以下バッタ)は、アフリカ等でしばしば大発生し農作物に深刻な被害を及ぼす。低密度下では孤独相と呼ばれる状態で点在して生活しているが、生息密度が高まると群れで生活する群生相に相変異する。群生相化した集団は長距離移動し、農作物などに大きな被害を及ぼす。バッタに対しては、殺虫剤の直接散布が主な防除技術として活用されているが、生息地における行動パターンは詳しくわかっていないため、効率よく殺虫剤を散布できていない。発生地である西アフリカのモーリタニアのサハラ砂漠において、バッタの集団形成行動を解明することで、効率的な殺虫剤散布方法の開発が期待できる。 |
成果の内容・特徴 | 1. 9月から12月にかけて2014年を除く9年間、野外調査を行った結果、日中、性成熟し群生相化したバッタは、雌雄どちらかに性比が偏った群れ(メス群、オス群)を形成している(図1左)。 2. メス群では、ほとんどの個体が交尾していない。一方、オス群では、メスは産卵直前の大きな卵を持っており、ほとんどが交尾している(図1右)。 3. オス群に産卵直前のメスが飛来する。(図2)、その後、交尾し、夜間にペアのままで集団産卵する(図3)。 4. すなわち、アフリカで群生相化したバッタは雌雄がそれぞれの性に偏った集団を形成しているが、夕方、産卵直前のメスがオス群に飛来して交尾し、夜間に集団で産卵する(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 産卵中のペアは狭い範囲に集合し、その場に数時間留まるため、夜間の集団産卵のタイミングを見計らって集中的に農薬を散布することで、必要以上に農薬を使用しない、環境や健康に配慮した防除に結び付くことが期待される。 2. メス群、オス群の集団間の距離と産卵後の移動様式は不明であり、今後の調査が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
研究内容 | https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2021_b06 |
カテゴリ | 農薬 防除 |