メタ解析により明らかになったアフリカ陸稲への施肥効果

タイトル メタ解析により明らかになったアフリカ陸稲への施肥効果
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2021~2025
研究担当者 浅井 英利
川村 健介 
齋藤 和樹 
ANDRIANARY Haja Bruce 
RAKOTONINDRINA Hobimiarantsoa 
RABENARIVO Michel 
RAMIFEHIARIVO Nandrianina 
RAZAKAMANARIVO Herintsitohaina 
RAKOTOSON Tovohery 
発行年度 2021
要約 アフリカにおける主要陸稲品種NERICA4の栽培試験データをメタ解析に供し、化学肥料の増収効果を環境要因に応じて定量的に評価する。結果は粘土含量が異なる土壌間で、降水量や窒素施用による異なる効果を示し、アフリカ陸稲栽培での施肥設計の指針となる。
キーワード アフリカ NERICA4 降水量 土壌 窒素施用 メタ解析
背景・ねらい 陸稲栽培はアフリカの主要な稲作形態の1つであるが、その収量は非常に低い。収量の向上には化学肥料の施用が不可欠であり、小農にとって施肥効率の改善は増収と生計向上に重要である。しかし様々な地域で行われている試験では、施肥が増収につながらない場合がある。地域によって異なる環境要因が原因と考えられるが、多くの試験を統合した分析はなされていない。そこで、環境ならびに施肥条件が異なるアフリカ8ヶ国での主要陸稲品種NERICA4の栽培試験データを用いてメタ解析*を行い、施肥効果に対する環境要因、特に降水量と土壌の影響を定量的に評価することで、化学肥料を適切に利用するための指針を得る。
* 複数の試験結果を統合・分析し、個々の条件を取捨して大きな結論や傾向を見出す手法。
成果の内容・特徴 1. NERICA4の施肥試験から対照区と施肥区を抽出し、合計151サンプルのデータベースを構築する(表1)。土壌は、粘土含量により低粘土質(≦20%)と高粘土質(>20%)に分類する。化学肥料の施用による増収量(対照区と施肥区の収量差)と、窒素・リン・カリウムそれぞれの施用量、および降水量の関係を調べる。
2. リン・カリウム施用量と増収量との関係は、いずれの土壌でも認められない(p > 0.05)。
3. 降水量の増加に応じていずれの土壌でも、増収量は大きくなる(p < 0.001。図1左)。増収量は、窒素施用量の増加に応じて、高粘土質で大きくなるが(p < 0.001)、低粘土質では効果がない(p > 0.05。図1右)。
4. 降水量が100 mm増えるごとに、高粘土質では0.145 t ha-1、低粘土質では0.168 t ha-1の増収効果が期待できる(表2)。窒素施用量100kgあたり、高粘土質では0.653 t ha-1の増収効果があるが、低粘土質では95%信用区間が正負に跨り、増収量は必ずしも大きくならない(表2)。
成果の活用面・留意点 1. 降水量や土壌に関する広い地域の地理情報との併用により、化学肥料の施用効果の高い地域を特定し、肥料の普及および販売促進への活用が期待できる。
2. 本研究は、メタ解析からアフリカの陸稲栽培における施肥効果の傾向を明らかにしたものであり、リン等の養分が局所的に不足する地域や個々の農家圃場レベルでは、異なる結果となる可能性があることに留意する。
3. NERICA4以外の品種については別途検証を要する。
図表1 249171-1.png
図表2 249171-2.png
図表3 249171-3.png
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2021_b12
カテゴリ 肥料 カリウム施用 施肥 データベース 品種 陸稲

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