フグの種・雑種の目利き技術の開発

タイトル フグの種・雑種の目利き技術の開発
担当機関 (国研) 水産研究・教育機構 水産大学校
研究期間 2016~2018
研究担当者 高橋洋
発行年度 2021
要約 日本産トラフグ属魚類全種について簡便かつ迅速に種・雑種判別が可能となる種・雑種判別マーカーを開発した。本技術により、フグ処理者のもつ高度な鑑別技術との相乗効果で食の安全・安心がさらに高まることや、万が一食中毒が発生した場合でもわずかな試料から原因種・雑種の特定が可能になると期待される。
背景・ねらい フグ(トラフグ属魚類)は種によって毒のある部位が異なり、また異なる種間の交雑によって生まれた雑種はどこに毒があるのか不明なため、正確な種・雑種判別が欠かせない。しかし、フグの仲間は互いによく似ているため、外見から雑種を判別するには高度な鑑別技術(目利き)が必要である。

2012年頃から東日本沿岸でショウサイフグとゴマフグの雑種(図1)が数多く漁獲され、その原因として近年の気候変動によるゴマフグの分布域の北上が考えられている。気候変動によるフグの分布域の変化は、他の種でも起きていることから、今後は様々な組合せで雑種が生じる可能性があり、本研究ではこのような雑種を正確かつ迅速に判別できる技術の開発を行う。
成果の内容・特徴 本研究では、日本産トラフグ属魚類11種について、そのDNAの塩基配列を詳細に調べ、各種に特異的な塩基配列を多数検出した。次に、各種について、これら特異的な塩基配列の有無を迅速かつ正確に判別できる検査方法を複数開発し、それらが正しく利用できるかを、あらかじめ増幅断片長多型(AFLP)法で判別した種や雑種を用いて検証した(図2)。正確に種・雑種を判別できた検査方法を、各種3つずつ開発し、種・雑種判別マーカーとして特許出願した。
成果の活用面・留意点 本技術(目利き技術)は、フグ処理者のもつ高度な鑑別技術との相乗効果で食の安全・安心がさらに高まることや、少量の組織があれば種・雑種判別できるため、万が一食中毒が発生した場合に食べ残しや嘔吐物から原因種が特定できることが期待される。また、AFLP法などの従来技術に比べ簡便なため、これまで水産大学校で実施してきた種・雑種判別が、全国の保健所などでも実施可能になると期待される。さらに、NHKダーウィンが来た!(令和3年1月10日放送)で取り上げられるとともに、水産大学校における「水族遺伝育種学」等の授業に反映されるなど、人材育成に貢献している。
図表1 249209-1.png
図表2 249209-2.png
研究内容 https://fra-seika.fra.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=11049&YEAR=2021
カテゴリ 育種 ごま 人材育成

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