課題名 |
海洋深層水を利用した新産業創出研究 |
研究機関名 |
高知県工業技術センター
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研究分担 |
食品加工部
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研究期間 |
完H14~15 |
年度 |
2003 |
摘要 |
目的:これまでに海洋深層水の特性と機能に関して様々な分野で研究がなされ、発酵食品の製造過程で海洋深層水が及ぼす影響も調査されている。しかし、発酵に関与する微生物遺伝子の転写レベルにまで踏み込んだ研究は未だなされていない。そこで、アサヒビール(株)と共同で「酒類の発酵工程における海洋深層水の酵母に対する科学的研究」で、近年利用可能になったDNAマイクロアレイ技術を用いて、酒類の発酵過程で海洋深層水が酵母ゲノム遺伝子の転写に与える影響を明らかにすることを試みるとともに、「有用微生物の生育に及ぼす海洋深層水の影響及び発酵食品への応用」で、有用な食品微生物である乳酸菌・麹菌・納豆菌へ海洋深層水が及ぼす影響の解明と応用も試みる。成果:1)酒類の発酵工程における海洋深層水の酵母に対する科学的研究○深層水中の主要な成分のうち、どの成分が有効なのかを突き止めるため、主要なミネラルを、考えられるすべての組み合わせで発酵試験に用い、Naは香気生成促進への寄与が高く(7割)、ミネラルの種類を増やしても相乗効果は無い事などを明らかにした。さらに、Naを単独で用いると酵母に過剰なストレスを与えるが、深層水を用いるとNa以外の成分がそのストレスを緩和することをマイクロアレイ解析で明らかにした。(H14)○H14には深層水が清酒酵母のみに及ぼす影響を明らかにするため(麹への影響を除外するため)に、もろみ上清を使用したモデル系を用いてマイクロアレイ解析を行ったが、より実地醸造の条件に近い並行複発酵時の酵母の働きに及ぼす深層水の影響をDNAマイクロアレイで解析した。その結果、モデル系と同様の効果が確認できた。これらの結果は、報文にまとめ、日本醸造学会誌へ投稿した(『海洋深層水が清酒酵母に与える影響』)。(H15)2)有用微生物の生育に及ぼす海洋深層水の影響及び発酵食品への応用○「乳酸の製造方法」「生モト系酒母の製造方法」の2件の特許出願を行った。「海洋深層水の清酒麹への利用と効果」の題名で日本醸造学会誌に投稿した。大豆の浸漬水に海洋深層水を用いることで納豆中の生菌数が増加することを明らかにした。(H14)○県内酒造場にて深層水麹仕込みの吟醸酒を製品化した。県内企業の協力を得て、深層水が乳酸菌の生育及び乳酸の生成に及ぼす影響を応用した商品(パン・菓子)の開発に着手した(継続中)。(H15)
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戦略 |
水産食品
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専門 |
食品加工流通
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部門 |
新産業
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カテゴリ |
加工
大豆
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