でん粉粕を活用した肉用牛生産技術の開発

課題名 でん粉粕を活用した肉用牛生産技術の開発
研究機関名 北海道立畜産試験場
研究分担 家畜生産部肉牛飼養科・帯広畜産大学・南十勝農工連
研究期間 H16~18
年度 2004
摘要 目的:化学資材等を添加して調製したでん粉粕サイレージの安全性を確認するとともに、牛ルーメン内でのでん粉粕の分解特性を明らかにし、最適なルーメン発酵制御を目指した給与技術の確立を図る。また、黒毛和種肉用牛へのでん粉粕給与が発育や生理的性状に及ぼす影響を調べる。最終的にはでん粉粕主体肥育用飼料設計案を提示し、実際の肥育試験を行って産肉性を明らかにする。方法:(i)化学資材等を添加したでん粉粕サイレージの発酵特性とルーメン内分解特性の解明a)でん粉粕への尿素添加が4-メチルイミダゾール(4MI)生成に及ぼす影響:生でん粉粕に0.5%尿素を添加して尿素添加でん粉粕サイレージを調製し、4℃冷蔵保存して4MI生成の有無を検討した。対象試料は、生でん粉粕・でん粉粕サイレージおよび尿素添加でん粉粕サイレージの3種類とした。b)でん粉粕と穀類飼料の採食性および繊維消化性の比較:ルーメンフィステルを形成した黒毛和種去勢牛6頭(387.2±29.2kg)を用い、分割区法による実験を行った。試験処理は、主試験区が濃厚飼料給与水準(0.2・0.4・0.6%BW、乾物ベース)で、副試験区が濃厚飼料種類(でん粉粕区・穀類区)とした。基礎飼料として乾草を0.7%BW(乾物ベース)で定量給与した。用いたでん粉粕は、0.5%尿素添加(原物ベース)し、トランスバッグで調製したサイレージ(pH 4.85)であった。(ii)でん粉粕主体の肉用牛飼料の設計及び黒毛和種肉用牛の育成・肥育技術の開発a)舎飼育成牛へのでん粉粕給与効果:乾草を基礎飼料とし、育成用配合飼料を併給する区(対照区)とでん粉粕主体飼料を併給する区(でん粉粕区)を設けて発育等を調べた。併給飼料給与量は50gDM/BW0.75とし、乾草は自由採食とした。用いたでん粉粕は、バンカーサイロで調整した尿素無添加サイレージ(pH 4.24)であった。調査項目:体重・体尺・ルーメン内溶液性状・血液性状・飼料摂取量b)放牧育成牛へのでん粉粕給与効果:でん粉粕主体飼料を放牧時に併給する区(でん粉粕区)と穀類飼料併給する区(対照区)について発育等を調査した。給与量は50gDM/BW0.75とした。放牧期間は、平成16年5月11日から10月12日までの154日間とした。用いたでん粉粕は、(i)-b)と同じサイレージであった。調査項目:体重・体尺・ルーメン内溶液性状・血液性状成績の概要:(i)-a)尿素添加サイレージのpHは3.99で、無添加サイレージ(pH 3.33)よりも高く生でん粉(pH 5.43) よりは低い傾向にあり、水分含量は78.3%で無添加サイレージの75.9%よりも高い結果となったが、尿素添加がサイレージ発酵を大きく変えることはないと考えられた。また尿素添加でん粉粕サイレージ試料に4MIは検出されず、4℃貯蔵下では0.5%尿素添加によりでん粉粕サイレージに4MIが生成することはないと思われた。現在、高温下での貯蔵が4MI生成に及ぼす影響を検討中である。(i)-b)乾物消化率に飼料の種類による違いはなかったが、濃厚飼料の給与水準を高めると乾物消化率は向上した(p<0.05)。主効果間に交互作用はみられなかった。ルーメン内容液性状に関しては、濃厚飼料給与水準の影響をみると、統計的に有意ではないが体重比0.2%給与区でpHは高く推移した。アンモニア態窒素は0.2%給与区で低かった(p<0.01)。飼料種類の影響では、穀類区よりでん粉粕区の方がpHは高かった(p<0.1)。アンモニア態窒素濃度は、濃厚飼料種類×給与後経過時間の交互作用がみられ(p<0.1)、ルーメン内微生物による蛋白質の分解や利用速度に濃厚飼料の種類による違いが示唆された。尿素添加でん粉粕サイレージと組み合わせる飼料には、エネルギーと蛋白質の分解が同調するような選択を検討する必要がある。(ii)-a)試験期間中の増体は、でん粉粕区に比べて対照区の方が大きくなる傾向にあったが、有意差は見られなかった。試験終了時の体重および期間の日増体量は、でん粉粕区で236.8kgおよび0.95kg、対照区で260.1kgおよび1.01kgであった。試験期間中の総飼料摂取量は、でん粉粕区4.3kg、対照区4.7kgで対照区の方が多い傾向にあった。血液性状では、20および28週齢時の総コレステロール含量が対照区の方で有意に高い値を示した(p<0.05)。(ii)-b)放牧開始60日目以降からでん粉粕区と対照区の体重差が開き始めた。放牧終了時の体重および日増体量は、でん粉粕区で206.3kgおよび0.64kgに対して対照区で189.8kgおよび0.56kgとなり、統計的に有意ではないがでん粉粕区の終了体重が8.7%大きくなった。
研究対象 肉用牛
戦略 畜産
専門 飼養管理
部門
カテゴリ 飼育技術 飼料設計 肉牛

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