野菜の品質自主管理技術の開発

課題名 野菜の品質自主管理技術の開発
研究機関名 岩手県農業研究センター
研究分担 保鮮流通技術
研究期間 継H16~18
年度 2004
摘要 目的:食の安全・安心が強く求められる中、生鮮農産物の衛生的で安全な栽培管理は全国的な関心事になっている。この衛生管理技術については、養液栽培に端を発し土耕栽培まで広くの手順化が検討されている。県内主要葉菜類についても、産地競争力の維持のため、より安全な生産を行うことが不可欠であることから、品質や安全性を産地が自主的に管理するための手順が必要であるが、現在は一般的な管理について栽培指針に示すのみとなっている。一方、各段階でリスクゼロをめざすと出荷流通経費の著しい膨張につながるおそれがある。このことから、本県の代表的な野菜類の中からホウレンソウを実例にとって、生産現場での実証を行いながら、生産、衛生管理からより安全な製品の生産、流通までの工程を生産者が自主管理する実用的な手順を開発する。到達目標:ア 生鮮野菜についてホウレンソウを実例に、生産工程並びに収穫から出荷までの工程における高品質化とリスク低減のための重要管理点(CCP)が明らかになる。イ 重要管理点(CCP)において、高品質化とリスクの低減をはかるための実用的な自主管理手順が開発される。ウ ホウレンソウの流通中の腐敗(とろけ)の原因が解明され、抑制技術が開発される。(注:CCPとはクリティカル・コントロール・ポイントの略で品質等を出来上がり製品のチェックのみでなく各製造工程(プロセス)ごとに危害を分析管理する際の個々の重要管理点の意味)予定成果(初年目):・ホウレンソウの生産工程における重要管理点(CCP)設定・ホウレンソウの収穫から出荷までの重要管理点(CCP)設定・流通中の腐敗(とろけ)の発生状況期待効果:ア 生産工程並びに収穫から出荷までの工程における自主管理手順が明らかになることにより、生産者が手順に従い自ら衛生的で高品質なホウレンソウの生産管理を行いやすくなる。イ ホウレンソウの流通中の腐敗(とろけ)の発生が抑制されることにより、本県産ホウレンソウの品質が向上する。ウ 自主管理手順を他の野菜類に応用できるようになる。成果:(1)携帯電話による生産履歴の管理(青年持続農業者連盟(YSFL)携帯電話による生産行程管理システム「AFAMA」は、生産者が栽培記録を携帯電話に入力し、所属先の法人や団体が情報を管理していくシステム。蓄積された栽培情報は、「AFAMA」事務局によって生産者向け、販売店向け、消費者向けの様式に編集、出力される。(2)トレーサビリティの導入平成14年度の農林水産省によるトレーサビリティシステム実証試験は、6品目7課題で実施。本県では、平成15年度、JAでネギなど青果物のトレーサビリティシステム構築に向けた実験的な導入をはかる。多くは生産段階の栽培記帳についての取組みであり、導入は限定的。(3)生鮮農産物の品質をめぐる国際的な動向コーデックス委員会(FAO/WHO合同食品規格委員会)の衛生部会においては、「生鮮果実・野菜の衛生実務規範」の最終案が昨年10月に採択され、2003年6月に総会で採択(ステップ8)されれば、青果物の衛生管理に関する国際的なガイドラインとなる見込み。内部成分については、国際的に広く輸出入される一部品目について、各国の意見聴取を行っている段階である。(4)生鮮農産物の高品質化をめぐる国内の動向平成8年の腸管出血性大腸菌O157事件を契機に生鮮野菜の衛生管理に取組んでおり、(社)日本施設園芸協会から、「かいわれ大根生産衛生管理マニュアル」(平成8年10月)、「水耕栽の培衛生管理ガイド」(平成11年3月)が発行されている。さらに、土耕栽培も含めた衛生管理を進める観点から、本年「生鮮野菜生産高度衛生管理ガイド」の暫定版が同協会から発行された。このガイドについては、本年度の実証事業を踏まえて所要の見直しが行われ、本年度末に完成版が取りまとめられる予定。大手スーパー(ジャスコ、イトーヨーカドーなど)では高品質野菜の自主的な手順をつくって、差別化流通を開始している。HPから栽培履歴の公開も実施中。ネット販売で栽培履歴の公開や、分析による品質表示を行っている例は高糖度トマトがほとんどである。(5)生産工程の管理埼玉県では、HACCPの考えを取り入れたホウレンソウとトマトについて内容成分、残留農薬、衛生管理を含めた管理手順を定めた。(埼玉県農林部地産地消推進室2002)(6)夏どりホウレンソウ流通中の品質低下夏どりホウレンソウ流通中の品質低下を防止するには、ビタミンC、糖含量の多い夕方の収穫とする。また、速やかな選別・調製・予冷(5℃以下)、好適な輸送温度(5℃)の管理が必要である。(北海道中央農試・流通貯蔵科2002)(7)ホウレンソウの葉の腐敗ビタミンCなどの内容成分を消耗しつくした葉は、急速に腐敗が進行する。(流通システム研究センター)(8)残留農薬の簡便な調査方法生産環境部環境保全研究室では、減農薬栽培農産物における農薬残留評価手法の開発(平成15~16年度)でイムノアッセイによる簡易分析法の適用性を検討中である。このうち、ホウレンソウについてはダイアジノンの分析キットの適用性を検討している。また、環境保健研究センターでもイムノアッセイ法による各種野菜類の残留農薬分析法の適用性を平成15~17年度で検討中である。
研究対象 ホウレンソウ
専門 食品加工流通
部門 野菜
カテゴリ 病害虫 かいわれ 加工 管理技術 管理システム くり 栽培技術 施設園芸 出荷調整 トマト ねぎ 農薬 ほうれんそう 輸出 輸送 養液栽培

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