環境保全型家畜ふん尿循環利用システム実証事業 畜産環境リスク管理指針の策定と環境負荷軽減技術の開発

課題名 環境保全型家畜ふん尿循環利用システム実証事業 畜産環境リスク管理指針の策定と環境負荷軽減技術の開発
研究機関名 北海道立天北農業試験場
研究分担 草地環境科
研究期間 新H16~18
年度 2005
摘要 (ア)糞尿還元可能農地面積に基づく飼養可能頭数算定法の確立 a.試験目的:適切な施肥管理のもとで農地に還元しきれる糞尿量を算出する家畜頭数を家畜の飼養可能頭数と考え、その算出方法を提示する。 b. 試験方法 (a) 対象農家:宗谷管内における中規模経営の集約放牧農家5戸を対象にした。 (b) 算定方法:ふん尿排泄量は窒素105kg/頭年、カリウム131kg/頭年とし、生ですべて施用可能とした。各養分の施肥可能量は施肥標準に準じた。基準肥効率は窒素(連用条件)ではふんと尿の排泄量の割合で加重平均した0.5とし、同様にして、カリウムでは0.8とした。飼養頭数の算出は、農家が採草地全てにふん尿を施用すると仮定し、ふん尿はのべ放牧時間から排泄量を算出した。なお、兼用地は利用実績に基づいて放牧地と採草地に振り分け、今回は放牧地への施用は行わないことを想定した。c.試験結果 (a) 5戸ともふん尿の処理形態は堆肥であったが、その施用実績には大きな違いが認められ、1戸以外は昨年のものを繰り越して施用していた。 (b) のべ放牧時間から、牛が舎内にいる時間の割合を算出し、1頭が舎内で排泄する養分量を肥料換算して算出した。舎内にいる時間の割合が小さい農家は、舎内で発生する1頭あたりの養分量も低かった。 (c)放牧を行わず、舎飼で草地を全て採草地利用すると想定した場合の飼養可能頭数を試算し、今回の飼養可能頭数と比較すると、概ね近い値であった。(イ)放牧主体酪農における経営内物質循環フローにもとづく環境負荷低減指針の作成 a.試験目的:放牧主体草地における物質循環を追跡することにより、集約放牧が環境保全・資源循環に果たす機能を明確にするとともに、負荷低減のための指針を提示する。本年度は放牧密度の異なる草地におけるN収支を明らかにするため、越冬期間における土層中のN流出量および採食によるN持ち出し量を検討する。 b.試験方法 (a)調査農場:宗谷管内の酪農家(放牧頭数37、草地面積約40ha、昼夜放牧、放牧日数165日)。 (b)聴取調査:各牧区の放牧頭数、放牧時間、放牧地の施肥管理等。 (c)土壌調査:越冬前(平成16年11月12日)と早春(平成17年4月25日)。各牧区5か所(GPSで登録した同じ場所)0~40cm各土層の無機態N含量。 (d) 収量調査:6月30日、8月2日、9月1日、10月6日に放牧密度の異なる6牧区から各3カ所。 c.試験結果 (a)早春の土壌中無機態N含量は前年の越冬前に比べ低い値を示す牧区が多く、放牧密度が高い牧区ほど無機態N含量の減少が多くなる傾向を示した。 (b)各土層の無機態N増減量の合計から、冬期間における0~40cm土層の無機態N含量の変化を見ると、放牧密度が2頭/ha以上の牧区では約2kg/haの減少を示した。 (c)6月30日から10月6日の放牧地収量と牧草中N濃度から、N1kg/10aに相当する収量としてN乾物生産効率(収量÷N濃度)を求めると、放牧密度1~2頭/haの6月30日で高い値を示したが、他の放牧密度や時期では30~50kg/kgであった。 (d)1日当たりの採食量、放牧時間、放牧頭数から推定される放牧期間の採食量を放牧密度別にみると、各時期とも放牧密度3頭/ha以上で多く140~180kg/10aであった。 (e)N乾物生産効率と推定採食量から、採食によるN持ち出し量を推定すると、放牧密度が高いほどN持ち出し量は多くなる傾向を示すが、3頭/ha以上で漸増傾向であった。また、化学肥料Nや放牧期間に排泄されたふん尿中N(扇ら:2003)を合わせた投入Nに対するN利用率は放牧密度2~3頭/haで約70%と頭打ちであった。
研究対象 牧草
専門 土壌肥料
部門 草地・飼料作
カテゴリ 肥料 環境負荷低減 経営管理 GPS 施肥 土壌管理技術 乳牛

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