摘要 |
黒毛和種候補種雄牛の能力評価に、交雑牛を用いた後代検定を併用する新選抜システムの活用を検討し、育種改良速度の向上、かつ検定コストの増加抑制をはかる。また、交雑牛生産に適した黒毛和種種雄牛の情報を示す。方 法:(1) 交雑牛の育成肥育成績に基づく黒毛和種種雄牛の育種価評価法の検討(i)交雑牛の発育・肥育データの収集複数の交雑牛飼養農家から交雑牛の育成肥育データを収集・蓄積した。また、交雑牛後代検定の評価対象種雄牛を協力農家の乳用雌牛に試験交配し、分娩~出荷に至るまでのデータを収集する体制を整備した。(ii)枝肉形質の育種価評価法の検討交雑牛枝肉成績に基づく黒毛和種種雄牛の育種価評価値(F1育種価)を算出し、黒毛和種の枝肉成績に基づく育種価評価値(黒毛育種価)との種雄牛毎の比較を行った。F1育種価の予測にはサイアモデルを用い、出荷農場・出荷年次・性別・出荷日齢(2次)の効果を補正した。成績の概要:(1)-(i)育種価評価に有効な6,185頭分の交雑牛肥育データを新たに整備した。昨年度試験交配した産子40頭が肥育農家に導入され、本年度交配の72頭が受胎した。これらの枝肉成績はH19年度から判明する予定である。(1)-(ii)交雑牛(黒毛和種×ホルスタイン雌牛)肥育データ13,578頭分を用いたF1育種価と黒毛育種価を比較したところ、相関の高い枝肉形質(枝肉重量・ロース芯面積・バラの厚さ)と、相関の低い枝肉形質(BMS No.・皮下脂肪厚)が明らかとなり、交雑牛肥育データを用いた黒毛和種種雄牛評価が形質別に適用できる可能性が示された。
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