摘要 |
○目的:黒星病はりんごの重要病害の一つであるが、国内の主要品種で抵抗性を持つものはほとんどなく、防除を徹底することで現在は被害を回避している。果樹研究室では黒星病抵抗性品種を得るために、平成2年頃から黒星抵抗性遺伝子Vfをもつプリシラとプリマを交配親として利用している。昨年、岩手県オリジナル品種として公表された「黄香」もプリシラを交配親にもつことから、黒星病抵抗性遺伝子を持つことが期待されたが、接種試験の結果抵抗性は示さなかった。そこで、これまで果樹研究室で育成されてきたVf遺伝子を持つ品種のF1(1,060個体)についてVf遺伝子に連鎖するDNAマーカーを用いて抵抗性の有無を判定する。また、これらの結果から、Vf遺伝子を持つ外国品種との交配で、どの程度黒星抵抗性個体が得られていたかを評価する。○到達目標:これまで育成されてきたF1個体の黒星抵抗性の評価を行う。既報の黒星抵抗性判定マーカーの育種上での実用性を評価する。○期待効果:これまで果樹研究室で育成されてきたVf遺伝子を持つ品種のF1(1,060個体)についてVf遺伝子の有無が明らかになる。プリシラ、プリマ等のVf遺伝子を持つ黒星病抵抗性品種は、Vf遺伝子をヘテロで有しており、Vf遺伝子ホモ個体を作出することで、交配して得られたF1は全て黒星抵抗性となる遺伝資源を得ることができる。黒星病抵抗性遺伝子を持つ外国品種を交配親にすることで、実際にどの程度抵抗性個体を得られていたかが明らかとなり、今後育種上での情報と資する。
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