摘要 |
ユズ、日向夏等のカンキツ果皮は、菓子素材の原料として、通年加工を目的に冷凍貯蔵されているが、数か月間経過すると褐変して利用できないものが発生し、その対応策が望まれている。また、果皮から採取される精油は、付加価値の高い香料として取引されているが、特殊な技術や設備を要することから、県内では実用化されていない。そこで、果皮褐変の原因とその防止技術、及び、精油の効率的抽出技術を明らかにした。1 品種別果皮褐変の検討:冷凍貯蔵中におけるカンキツ果皮の褐変のしやすさは、品種により異なっていた。供試したカンキツでは、日向夏が最も早く褐変し、次いで、イヨカン、デコポン、ユズ、ポンカンの順に褐変しやすく、温州ミカン、ハルミは褐変しにくかった。2 果皮褐変の発生要因と防止方法の検討:カンキツ果皮の冷凍貯蔵中の褐変には、貯蔵温度と酸素が大きく関与していることが分かった。-30℃以下に貯蔵するか、酸素を除いた包装(真空、窒素充填、脱酸素剤封入等)で、長期間褐変を防止することができた。3 果皮中の精油含量の検討:ユズの搾汁残渣には、果皮、じょうのう膜、種子が含まれており、精油含量は0.4%であった。果皮のみの精油含量は、0.6%であった。レモンについては、搾汁時に除去された外果皮(フラベド)の精油含量は1.9%であり、ユズよりも多く含まれていた。4 精油抽出方法と品質との検討:精油の抽出方法を検討した結果、破砕遠心抽出法が最も品質がよかった。5 精油抽出条件の検討:中果皮(アルベド)を除いたユズ、レモン果皮に水を加えて破砕し、ろ過、遠心分離を行う方法で、ユズでは原料果皮中の約45%、レモンでは約55%の精油を抽出することができた。
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