(3)熱帯・亜熱帯地域における家畜飼養技術の高度化とアジアの乾燥地における持続可能な農牧業生産システムの構築

課題名 (3)熱帯・亜熱帯地域における家畜飼養技術の高度化とアジアの乾燥地における持続可能な農牧業生産システムの構築
課題番号 2008010751
研究機関名 国際農林水産業研究センター
研究分担 (独)国際農林水産業研究センター,畜産草地領域
協力分担関係 モンゴル国立農業大学
研究期間 2006-2010
年度 2008
摘要 タイにおけるこれまでの飼養試験データ並びに飼料分析データを取り纏めて、タイ語で肉牛飼養標準試作版を作成した。タイ南部、北部並びにラオス南部の代表的な飼料資源の化学分析と栄養価を測定するとともに、飼料成分から代謝エネルギー(ME)と可消化エネルギー(DE)を求める推定式を作成した。タイ在来種の離乳子牛にエネルギー水準を3段階に変えて給与した結果、増体量と飼料摂取量は、飼料中のエネルギー水準の増加とともに増加したが、同量の飼料による増体量は飼料中のエネルギー水準の増加にともない減少した。タイ東北部における在来種育成牛の維持に要する飼料中蛋白質含量は6.1%以下、蛋白質摂取量は4.38 gCP/kgBW0.75 を示し、欧米系の肉牛に比べ低い値であることが示唆された。飼養標準と飼料資源データベースを用いて飼料設計を行うため、飼料設計ソフト(Ration 51)を作成し、タイ語で作成した肉牛飼養標準試作版(2008年8月)に添付して出版した。JICA-パラグアイ農業総合試験場(CETAPAR)の試験地において、7年間草地にした場所に、大豆作を再開した試験区(輪換区)と、大豆連作を行っている対照区を設置し、両区を比較した。両区で4年間大豆(表作)と小麦(裏作)の収量を調べた結果、大豆の収量は4作とも、小麦の収量も3作とも輪換区で明らかに高かった。しかし、効果の程度は年々小さくなり、農牧輪換の大豆・小麦の収量に及ぼす正の効果は大変大きいが4年程度で失われると推察された。また、反復試験として、3年間及び4年間草地化した区と大豆を連作する対照区を設置した調査も行った。その結果、3年草地化した区の初年度収量は雑草防除失敗のため明瞭な結果は得られなかったが、2年目は有意ではないが高い傾向を示し、4年間草地化した区も対照区より高い傾向を示した。土壌の理化学性についての違いについて調べたところ、草地から大豆作開始直後では、輪換区ではリン・カリ・土壌有機物含量・団粒構造等が連作区に対して有意に改善されていた。南米の熱帯サバンナ地域において、連作により生産性の低下した大豆-小麦体系の畑に農牧輪換システムを導入すると、土壌の理化学性が改善されるとともに大豆と小麦の生産性も回復することが示された。パーティクル・ガンによるルジグラスへの遺伝子導入では、ストレス誘導性プロモーターとDREB1を組みこんだコンストラクトから形質転換系統を獲得した。三倍体の農業特性を二倍体及び四倍体と比較・解析するため、二倍体ルジグラスと四倍体品種の間で交雑を行った。中国内モンゴル自治区における牧畜経営の草地利用状況や収益構造が人口圧と土地面積によって異なっている実態等を明らかにした。モンゴル国の都市周辺では草地資源が不十分で購入飼料への依存が強いが、乳製品への国内需要増加による乳価上昇により牧民所得が確保されていることを明らかにした。2 m程度の高い地上解像度を持つ高解像度衛星(QuickBird)を使って草量分布を広域かつ詳細に把握する手法の有効性を確認した。放牧試験では、昨年度より放牧圧を1.2倍上げた条件で検討したが、放牧圧、家畜種、補助飼料給与の各処理間で植生の種類・被度に有意差は現れていない。地域の低利用農業副産物資源(小麦フスマ)を利用した冬季飼養試験を開始し、牧草消化率等の基礎データを収集した。「植生・畜産経営統合モデル」の因果ループ図を作成した。住民参加による放牧地利用計画の策定・実施により、その実効性を確認した。より放牧地の利用環境の厳しいソム(行政区分で日本では郡に相当)において放牧地利用計画を策定した。放牧地利用計画の精度を高めるための牧養力試験の取組み準備を進めた。在来低灌木(カラガナ)の育苗技術について実証調査し、利用可能技術としての有効性を確認した。放牧地の有効利用に不可欠な井戸について、適正な整備・利用方法を設定した。燃料ブロックの改良と普及システムの開発を行い、その有効性を確認した。その結果、ウブルハンガイ県の「2009年度の経済と社会開発の基本方針」において本普及システムが採用され、2009年1月より県内の学校、幼稚園および病院などの公共施設で運用が開始された。放牧地利用、各技術的問題解決のための研修(「放牧地利用計画作成研修」:8月および11月の2回にわたりそれぞれ1週間、バローンバヤンウランソムで開催、137名参加)、ワークショップ(「牧畜経営改善」:9月25日、アルバイヘールで開催、25名参加、「燃料ブロック」:10月31日、アルバイヘールで開催、57名参加、「放牧地利用管理」:平成21年3月10日、アルバイヘールで開催、30名参加)、セミナー(平成21年3月5日、ウランバートルで開催、31名参加)を実施し、牧民や行政職員のキャパシティビルディングを図った。放牧地利用ガイドライン(案)および植生回復技術マニュアル(案)をとりまとめた。
カテゴリ 病害虫 亜熱帯 育苗 乾燥 管理技術 経営管理 雑草 飼料設計 大豆 データベース 肉牛 品種

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