(1)不良環境耐性メカニズムの解明と耐性作物の作出

課題名 (1)不良環境耐性メカニズムの解明と耐性作物の作出
課題番号 2009014013
研究機関名 国際農林水産業研究センター
研究分担 (独)国際農林水産業研究センター,生物資源領域
協力分担関係 国際稲研究所
研究期間 2006-2010
年度 2009
摘要 ・ ブラジル農牧研究公社(Embrapa)がParticle Gun法で作出した形質転換ダイズの分子的解析を行い、DREB1遺伝子導入系統p58では3コピーの遺伝子が2遺伝子座に導入されていること及び78個体の形質転換個体ではDREB2遺伝子が導入されていることを確認した。これらの情報を基に固定化を図っている。・ イネの亜鉛欠乏耐性については、耐性QTLを持つ系統では葉のアスコルビン酸が高く、アスコルビン酸合成系の遺伝子の発現が高いことを認めた。・ イネのオゾン耐性QTLを持つ系統では抗酸化関連遺伝子の発現が高いことを認め、関連する耐性遺伝子を選定した。また、耐性QTLを持つ系統は生殖生長期のオゾン処理でも不稔粒の出現が低く、オゾンに対する抵抗性を示した。・ コムギの乾燥耐性に関して、QTL解析用の連鎖地図作成を進め、96個のSSR (Simple Sequence Repeat) マーカーによる21連鎖群からなる染色体地図を得たが、さらにマーカー数を増やす必要がある。・ ダイズの耐塩性遺伝子のQTL解析では、耐性に関与する領域を230kbまでに絞り込み、耐性に連鎖するDNAマーカーを得た。また、この耐性領域中に耐塩性に関与する可能性が高い遺伝子を見出した。・ イネの乾燥耐性評価法としてマニトールによる高浸透圧処理法を検討し、乾燥に対する品種の耐性と感受性は再現性高く区別できることを確認した。この方法でDREB遺伝子を導入した形質転換系統を評価し、系統間に大きな変異を認めた。・ 低温ストレス誘導性のDREB1遺伝子の発現制御に関わる転写因子としてPIF7を同定した。PIF7は非ストレス下でDREB1遺伝子の発現を抑えていることが明らかになった。・ DREB2タイプの転写因子の活性化は、シロイヌナズナなどの双子葉植物とイネなどの単子葉植物では異なる機構で制御されていることが明らかになった。また、イネでは5種のDREB2タイプの遺伝子が存在するが、OsDREB2B遺伝子がDREB2Aのオルソログであると考えられた。・ シロイヌナズナのアブシシン酸(ABA)を介した乾燥ストレス応答に関与する転写因子をコードするAREB1、AREB2及びABF3遺伝子の三重変異体を用いて機能解析を行い、これらのAREBファミリー遺伝子がABA及び乾燥ストレスによる遺伝子発現において正の制御因子であることを示した。・ ABAによって活性化される3種のSnRK2タイプのタンパク質キナーゼ遺伝子の三重変異体を作製して解析することで、これら3種のタンパク質キナーゼがAREB1のリン酸化を制御していることを明らかにした。また、この変異体はわずかな乾燥でも枯れてしまうことから、AREBの活性化が乾燥耐性の獲得に重要であることが示された。種子で発現するAREBタイプの転写因子であるABI5のリン酸化もこれらの3種のタンパク質キナーゼによることを明らかにした。・ ガスクロマトグラフィ直結質量分析 (GC/MS)やオリゴマイクロアレイなどを用いて、シロイヌナズナの低温及び乾燥処理後の植物とDREB1A及びDREB2Aを恒常的に過剰発現した植物の代謝産物組成と転写レベルを網羅的に比較解析して、低温及び乾燥耐性の向上に関与する遺伝子群や代謝産物を明らかにした。・ 非ストレス時に遺伝子発現を非常に低く抑え、乾燥ストレス時に高いレベルの発現を誘導するプロモーターとして4種のイネのストレス誘導性プロモーターを同定した。これらのプロモーター中、Oshox24プロモーターは種子中での発現が低く、乾燥耐性作物の作出に利用できると考えられる。・ ダイズのゲノム情報を利用して作製した新規のオリゴマイクロアレイを用いて、ダイズの乾燥、低温及び高温ストレスによって誘導される遺伝子群を網羅的に同定した。
カテゴリ 乾燥 ごま 大豆 DNAマーカー 抵抗性 評価法 品種

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