(1) 農業環境資源インベントリーの構築と活用手法の開発

課題名 (1) 農業環境資源インベントリーの構築と活用手法の開発
課題番号 2009014012
研究機関名 農業環境技術研究所
研究分担 (独)農業環境技術研究所,生態系計測研究領域
協力分担関係 富山高等専門学校
木村応用工芸(有)
富山県農林水産総合技術センター
富山県庁
研究期間 2006-2010
年度 2009
摘要 ア リモートセンシング・地理情報システムを用いた農業環境資源の情報化と活用1)農業生態系情報抽出評価のためのリモートセンシング・GIS手法の開発 群落スケールの生育監視等に活用できる可視・近赤外域数波長の分光画像を野外計測する簡易システムを開発した。ハイパースペクトラ解析に基づき高精度で汎用性が高い群落窒素量の評価指数を見出した。新規XバンドSAR衛星による後方散乱信号とイネ穂重との間に密接な関係を見出し、収量の直接評価の可能性を得た。2)生物生息域評価のための空間構造指標の開発 生物生息域としての機能面から土地利用分布や異種地目の配置の空間構造的特徴を評価するため、生物の移動の難易度を示す指標である累積コスト指数を用いて、土地利用のモザイク性を考慮して生息地の連続性を評価する手法(累積コスト法)を確立した。スケールの異なる地域を対象に、森林棲生物等を想定した広葉樹林からの累積コスト図と、水生生物や水鳥等を想定した水域からの累積コスト図を作成した。この手法により様々な場合の生息地連続性を可視化することが可能となった。イ 総合的なインベントリーの構築と利用法の開発1)農耕地土壌情報システムの構築と公開 2001年の土地利用に対応した新しい農耕地土壌図を作成し、さらに本研究所に長期に渡り蓄積されている全国の農耕地土壌に関する情報を、体系化し閲覧システムを構築してWeb上で公開した(http://www.niaes.affrc.go.jp/)。本システムには、デジタル農耕地土壌図(縮尺:1/5 万)、土壌の種類毎の説明と土壌の写真や模式図(土壌解説資料)、および土壌を現地で調査する際に記入する断面記載表と理化学性分析データ(基準土壌断面データベース:全国で7115 の調査地点)を収録している。本システムの土壌図は農業生産力評価、農耕地土壌の炭素貯留機能や水質浄化機能の評価などといった農業生産・地域環境の両側面での利活用が期待され、基準土壌断面データベースは土壌の多面的機能の評価、大学等での土壌学の教育素材、調査事業等で土壌調査のための調査支援ツール等への利活用が期待される。2)包括的土壌分類試案の策定 包括的土壌分類試案策定のため、外部研究者11 名、内部研究者6 名でワーキンググループを組織した。農耕地土壌分類第3 次改訂版(1995)と「日本の統一的土壌分類体系-第二次案(2002)-」を融合する方式で、包括的土壌分類体系試案を策定する基本方針の下、特徴層位、識別特徴、および検索表からなる第1 次素案を作成し、ワーキンググループで検討した。3)都道府県別農地の窒素・リン酸収支算定データベースの構築 我が国の農地における窒素・リン酸の収支は、OECD 加盟国中それぞれ4 番目、1 番目に多いことから、地域的なバラツキ、作物別や畜種別の特徴を明らかにし、収支を改善する必要がある。そこで、肥培管理に関する調査結果、肥料生産量、作物栽培・家畜飼養に関する農業統計をもとに、1985 年から2005 年まで(5 年ごと)の都道府県別、作目別、畜種別に窒素・リン酸収支を算定したデータベースを構築した。また、これを用いた解析により、我が国全体で収支は逓減しているが、野菜での窒素収支の過剰や未利用となる家畜ふん尿が増加していることを明らかにした。本データベースを農業環境リスク指標の一つとしてとらえ、都道府県別の一酸化二窒素発生量の推計や、地下水・河川・湖沼の水質の改善に利用することができる。4)昆虫インベントリーの拡充 明治時代から昭和20 年代後半にかけて我が国で行われた昆虫研究に関する文献情報をほぼ網羅した貴重な資料である「三橋ノート」のうち、多数の害虫や益虫を含み農林学的な重要性が高いグループであるコウチュウ目に関係する全135 冊、19,992 頁の画像を取得し、公開した。このデータベースは、各種の分布や害虫種の発生状況、益虫の利用状況など、過去のコウチュウ目に関する文献を検索する上で、貴重な情報源となる。アジア地域のガ類標本では国内屈指の杉 繁郎コレクションのタイプ標本を公開した。178 点のタイプ標本を中心とする合計379 点の標本の画像、種名、ラベルデータ、文献情報などが閲覧できる。タイプ標本は、新種を報告する時に1 個体指定する模式標本で、国際動物命名規約により相応の研究機関での管理が勧告されている。侵入害虫や生物多様性の評価などにおける分類学的研究への活用が期待される。5)ジーンバンク事業 平成21 年度事業計画に基づき、微生物ジーンバンクについては、新規MAFF 登録株を20 株、特性420 点を登録した。昆虫ジーンバンクについては、新規1系統(タバココナジラミ(バイオタイプQ))を導入し、2 種9 項目の特性評価を実施した。
カテゴリ 肥料 害虫 コスト タバココナジラミ データベース 肥培管理 リモートセンシング

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