(4)熱帯・亜熱帯における重要病害虫に対する防除管理技術の開発

課題名 (4)熱帯・亜熱帯における重要病害虫に対する防除管理技術の開発
課題番号 2010015019
研究機関名 国際農林水産業研究センター
研究分担 (独)国際農林水産業研究センター,熱帯・島嶼研究拠点
協力分担関係 ベトナム南部果樹研究所
研究期間 2006-2010
年度 2010
摘要 ・ メコンデルタ地域におけるミカン園の多数事例について、新植園地のグリーニング病の被害発生に影響する各種要因を定量的に解析・評価し、その結果に基づき圃場条件と耕種概要から農家のミカン栽培開始意思決定を支援する自己診断チャートを作成した。さらに、グリーニング病の総合管理(IPM)技術マニュアルを作成した。・ 個体ベースのグリーニング病感染拡大モデルを構築し、伝染源となる罹病樹の除去・浸透移行性殺虫剤の施用等の各種防除法に関してパラメータを変更することでその効果をシミュレートすることを可能とした。また、隣接園からのミカンキジラミの侵入に関する圃場試験を実施し移動分散特性を明らかにした。・ 肥培管理と発病および収量の関係の解析結果から、施肥条件は発病時期・程度に直接影響せずに、発病前の発育(収量構成要素の量)を通じて発病株の収量に関係し、さらに薬剤防除による発病遅延によりその効果が増幅されることから、生育初期の重点的な防除と肥培管理が収穫期の早い段階での収量の増加に重要であることを明らかにした。・ IPM実証農家の経営評価を行い、収穫2年目までの費用と売り上げの関係を明らかにした。その結果、高収量農家で経営の黒字化を確認するとともに、高収量農家と低収量に留まる農家の作業上の特徴を把握した。・ IPMマニュアルの普及とプロジェクトの総括のためのワークショップを平成22年10月19日・20日に、ベトナム・ホーチミン市で開催した。・ 寄生蜂放飼後、ハムシによるココヤシ被害がほとんどすべての地域で低減することを観察した。ココヤシ被害、ハムシ密度・寄生率などの調査から、(害虫自身の密度依存性による制御ではなく)寄生蜂によりハムシ密度が抑えられ、その結果被害が低減していることを明らかにした。・ ハムシ2系統、パプアニューギニア(PNG)系統とアジア系統はチモール島で混在することがわかった。異なる系統間から産まれた卵の孵化率と成虫羽化率は同系統間に比べ極めて低く、2系統は生殖的に隔離されていることを明らかにした。アジア系統がPNG系統に比べ、産卵数が多く寿命も長いため害虫化しやすいことが示唆された。2系統はほぼ別種で、それぞれ原産地はニューギニア島(PNG系統)、ジャワ島(アジア系統)と推測され、チモール島は両系統の競争力の比較や分布拡大を検証する意味で重要と考えられた。・ 2種の寄生蜂について寄生可能な寄主の齢期を調べたところ、好適な寄主齢期は異なることが実験により明らかになり、野外放飼した場合も2種が直接競合する可能性はほとんどないことがわかった。・ 寄生蜂Asecodes hispinarumを導入後、全ての地域で被害低減が見られたが、唯一ベトナム中部のフーイェン省では被害低減が見られなかった。本寄生蜂は高温に弱く30℃恒温条件下で生存できず、当地のフェーン現象による夏季の高温が原因と考えられた。一方、Tetrastichus brontispaeはこの温度下で問題なく寄生することができる。したがって、新たにハムシが侵入した場合、気候条件に応じて寄生蜂を選択する必要があることが示唆された。
カテゴリ 亜熱帯 害虫 管理技術 経営管理 施肥 肥培管理 防除 薬剤

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