課題名 | m.茶の効率的施肥技術の開発及び少肥適応性品種との組合せによる窒素施肥削減技術の開発 |
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課題番号 | 2010014870 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,野茶研,茶施肥削減技術研究チーム |
協力分担関係 |
沖縄県農業研究センター |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2010 |
摘要 | 1)化学肥料削減技術の開発では、数値計算モデルを用いた茶園からの窒素溶脱量評価により、適切な点滴施肥法として、窒素濃度400~1000 mgN/Lの場合、年間20回以上に分けて液肥を施用すれば窒素溶脱量の低減効果が大きいことを明らかにした。また、リン酸蓄積量の最適化では、一番茶と二番茶を収穫する体系では慣行のリン酸、カリの施肥量を半減しても10年間は収量・品質に問題ないことを、一方、カルシウムの多量施用は品質を低下させることを明らかにした。さらに、有機性資源の活用技術として、メタン発酵消化液の多量施用では塩素の害が発生するものの秋肥、春肥、芽出し肥、夏肥の窒素3kg/10a分をメタン発酵消化液で代替しても収量・品質に問題はないこと、土壌中の微量要素含量(マンガン、鉄、銅、亜鉛)の溶脱傾向は認められず、敷きわらや整せん枝の圃場還元の寄与が大きいことを明らかにした。2)少肥適応性品種開発・選定のための茶樹の窒素吸収・同化のQTL解析では、少肥栽培下での生育が優れる「あさのか」について、施肥5日後の白色根内の主要アミノ酸(テアニンおよびグルタミン)の含量を高めるQTLを検出し、これらのQTLが施肥窒素の根における吸収・同化に関する遺伝的能力の向上に利用できることを示した。3)少肥適応性評価指標と生育・収量・品質特性との関係解明では、少肥適応性候補系統「金谷30号」は系適試験において良好な生育を示した。また、本系統は暖地の枕崎において主力の早生品種「ゆたかみどり」より初期生育が良好で、摘採面あたりの収量が多く、普及が見込まれることを明らかにした。4)ほ場試験に基づく窒素施肥削減技術の開発では、22年度は一番茶期前の3月末に強い凍霜害があったが、効率的施肥区(液肥点滴、肥効調節型肥料、いずれも年間窒素施用量35kg/10a)において、少肥適応性品種候補「ふうしゅん」は、「やぶきた」に比べて一、二番茶とも5割以上増収し、品質は21年度までの「やぶきた」慣行施肥区(年間窒素施用量54kg/10a)と同程度に維持できること、摘採適期期間を拡大できることを明らかにした。また、効率的施肥区では肥料による窒素投入量と収穫物による窒素搬出量の差を慣行施肥区の5割に低減できること、亜酸化窒素の発生量を増加させないことを明らかにした。「ふうしゅん」の窒素利用率向上の要因として、本品種は芽数が多くても枝数が多いため百芽重は低下しないことを明らかにした。少肥適応性評価指標として20年度に提示した乾物重、樹体中全窒素含量および窒素吸収利用率は、成木園においても有効であることを明らかにした。 |
カテゴリ | 肥料 施肥 茶 品種 品種開発 メタン発酵消化液 |