水田生産環境維持のための地下灌漑の多目的活用技術(平18~22年,県単・農業振興課)

課題名 水田生産環境維持のための地下灌漑の多目的活用技術(平18~22年,県単・農業振興課)
研究機関名 宮城県古川農業試験場
研究分担 土壌肥料部
研究期間 完H18~22
年度 2010
摘要 目的:地下灌漑は暗渠のもみ殻疎水材の劣化抑制や輪換畑大豆の開花期の土壌水分の確保等に有効であることが確認されている。今後,水田の生産環境を維持改善するための多目的活用技術の確立を計る。県内の水田の約3割が泥炭または黒泥土壌であり,ほ場整備による乾田化や畑作利用により心土層を構成する有機物が除々に分解され,地盤沈下による排水機能の低下が懸念される。本年度は,地下水位調節並びに暗渠排水が土壌中の有機物分解に影響があるか調査を行ったとともに,地下灌漑技術が沿岸低平地における畑作時の塩害を抑制できるか検討する。 成果:1)地下灌漑技術による水田基盤の安定化 (1)土壌水分張力では,8月上旬の降水量が少なかったが,地下水位調節をしていたことにより,深さ40cmのpFはほ場容水量1.5までほとんど到達しておらず,深さ70cmではpFはゼロを示していた。 (2)試験区,対照区ともに収量による大きな差は見られなかった。 (3)ろ紙質量残存率では,地下水位調節の有無,弾丸暗渠の施工にかかわらず,深層であるほどリターバッグの残存率が高かった。また,試験区の深さ70cmの残存率が70.2%と対照区1,2より高く,地下水位調節をすることにより,分解が進みにくい傾向が得られた。 2)地下灌漑技術による畑作塩害抑制 (1)調査地区は,北上川河口に位置しており,海岸及び汽水域の河川からの海水が地中から農地へ潜り込むものと考えられる。塩素イオン濃度の深度別測定結果から,高濃度塩分水は12月上旬に地表面付近まで上昇したが,通常は田面下1.5m~4m付近にあり,海水が農地表面に向かい上昇するものと考えられる。 (2)降水量は7月が87mm,8月が23mmと少なく,水収支計算の結果-107.7,-129.2となり,地下水の塩素イオン濃度が上昇する可能性が考えられた。本年度の水収支計算は合計で111.7のプラスであったが,過去10年間では,5~9月にマイナスとなっている。そのため,灌漑期には潅漑用水を利用した地下潅漑など,地下への用水供給が必要となる。平成20~21年度に引き続いて排水路を堰上げして,地下潅漑を講じ,地下水位は田面下30~50cm程度にあった。 (3)土壌水分の変化,大豆(タンレイ)の生育・収量は,ほ場による違いは見られなかった。また,塩害による収量への影響はなかった。
カテゴリ 肥料 水位調節 水田 大豆

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