摘要 |
目的:昭和45~48年に二迫川流域(鶯沢町,栗駒町,築館町),新堀・出来川流域(古川市,小牛田町)小原・赤井畑地区(白石市)でカドミウム汚染が確認された。玄米カドミウムが1ppmを超える地区は公害防除特別土地改良事業により客土等の対策が実施され,1ppmには達してないものの0.4ppmを超える地域では,汚染米の市場流通防止のため,出荷前の分析チェックを行う産米分離調整を継続している。分離調整地区では平成7年よりALC資材等土壌改良によるカドムウム吸収抑制の大規模現地実証に取り組んでいる。本試験では,土壌改良資材のカドミウム吸収抑制効果とその効果の持続性を確認し,また水管理など玄米カドミウムの抑制に必要な対策を検証し,安全な農産物供給を達成する。 成果:2010年は,全サンプル中0.4ppm未満のものが76%を占め,0.4ppm以上1.0ppm未満のものが21%となった。1.0ppm以上のものは6点で4%であった。年次推移をみると,本年は湛水管理を推進してきた2004年以降で1.0ppmの比率がもっとも高く,2006年,2007年の3%を超えた。出穂前後の降雨と玄米カドミウム濃度の関係をみると,本年は2004年以降で5mm以上の降雨日数はもっとも少なく,また登熟期間の気温が高く日照時間が長かったことから,湛水管理が徹底できなかったほ場ではカドミウムの吸収が多くなったものと考えられる。集荷した倉庫からの,抜取り検査(ロット調査)の結果は,抜き穂とほぼ同様の結果となり,点数では0.4ppm未満のものが72%を占め,0.4ppm以上1.0ppm未満のものが残り28%となった。1.0ppm以上のものは0%であった。袋数では 0.4ppm以上1.0ppm未満のものが1,544袋となり昨年(106袋)を大きく上回った。
|