課題名 |
8 病害虫防除研究 2)過熱水蒸気発生装置による水稲種子伝染性細菌病害防除 |
研究機関名 |
石川県農業総合研究センター
|
研究分担 |
生物資源G
|
研究期間 |
完H22 |
年度 |
2010 |
摘要 |
目的:水稲の種子消毒に用いられている温湯消毒法は、煩雑な廃液処理の必要がないため環境に優しい防除法として注目されているが、大量の水を高温に維持する必要があり、多大なエネルギーコストがかかる。近年開発された過熱水蒸気発生装置は、比熱の小さい水微粒子を加熱させるためコストは小さい。本研究では、過熱水蒸気処理による種子発芽に及ぼす影響と、イネ苗立枯細菌病に対する防除効果を検討した。 成果:80℃以下では60分の処理でも発芽率の低下は認められなかった。一方、90℃を超えると、10分以上の処理では発芽率が著しく低下した。100℃~130℃では、2分以内では発芽率に影響を及ぼさないと考えられた。140℃~150℃では1分以内、160~170℃では30秒以内で発芽率に影響を及ぼさないと考えられた。カグラモチの温度感受性はコシヒカリと同等であると考えられた。自然感染を想定した減圧接種種子を用いた場合は、概して防除効果は低かった。110℃2分や130℃2分では若干発芽率が低下したが、比較的防除効果は高かった。一方、慣行の化学農薬処理や60℃10分の温湯処理では防除価が100であり、発芽率も高かった。140℃~170℃の1分以内の処理では全く防除効果がなかった。病原菌を種子表面に付着させただけの場合は、おおむねは安定した防除効果が得られた。ただし、140℃~160℃の1分処理では発芽率が低下していた。水稲の種子伝染性病害は、自然条件下では種子の内部まで病原菌が侵入する場合があり、これらを高温で殺菌するには種子の表面だけでなく、内部温度を上昇させる必要がある。したがって、過熱水蒸気滅菌器による短時間の種子消毒では安定した防除効果が得られないものと考えられた。
|
カテゴリ |
病害虫
温湯消毒
コスト
種子消毒
水稲
農薬
病害虫防除
防除
|