琵琶湖沿岸環境変動の影響調査研究

課題名 琵琶湖沿岸環境変動の影響調査研究
研究機関名 滋賀県水産試験場
研究分担 環境病理担当
生物資源担当
研究期間 継H16~
年度 2011
摘要 I.在来魚介類資源の回復による琵琶湖漁場環境改善技術開発研究(平成22年度~24年度)
、 今日の琵琶湖に見られる水草の異常な繁茂や漁網の汚損などの現象と魚介類の生息量減少や種組成の偏りとの因果関係を検証し、それらに伴う生態系サービスの経済的損失を求めたうえで、費用と便益を考慮し、湖沼の生態系を健全に保全し、従前と同様の生態系サービスを享受できる魚介類を活用した生態系の修復技術を開発するため、環境省の環境研究総合推進費を受託し琵琶湖博物館、滋賀県立大学、(独)水産総合研究センター中央水産研究所との共同で実施した。
、(1)水草の異常繁茂の状況把握とメカニズムの解明に関する研究
、 琵琶湖博物館が担当し、水草繁茂状況の季節変化図の作成と、ソナーを用いた群落構造による類型分布図の作成を行った。
、(2)漁網への付着の増加等、生物生産過程に見られる変化の現状把握と原因の解明に関する研究
、 琵琶湖で試験エリ網を調べたところ、栄養塩組成と付着藻類組成に違いが見られるとともに、深度4mまで付着による網地の変色が確認された。刺網への藻類等の付着に及ぼす環境諸条件を調べたところ、水温躍層形成の有無と下降期、網設置深度および湖水中の藻類組成が重要であり、これらの条件がそろえば平均5cm/s以上の湖流により付着は発生するものと考えられた。また、滋賀県立大学に再委託し、培養実験によりエリ網上で付着藻類が増加する原因を検討した。
、 生物生産に及ぼす栄養塩バランスの影響を明らかにするとともに、下水道処理排水が栄養塩バランスに及ぼす影響を把握するため、過去25年間の河川からの年間平均栄養塩負荷量を推定するとともに、下水道処理施設5カ所からの栄養塩負荷量、瀬田川洗堰等からの栄養塩流出量を算出したところ、南湖では貧栄養化にあることが示唆された。
、(3)生態系サービスの損失額の推定に関する研究
、 (独)水産総合研究センター中央水産研究所に再委託し、水草の異常繁茂と漁網の汚損によって生じる生態系サービスの損失を推定した。
、(4)魚介類の生態系保全機能を活用した湖沼生態系の保全技術開発に関する研究
、 オオカナダモ、コカナダモ、センニンモ、マツモを疑似植栽した試験池においてブルーギルによる水草繁茂助長とワタカ・コイの水草繁茂抑制に対する影響を調べたところ、ブルーギルは水草を増加させることが示唆された。
、 重要水産生物であり、データ情報の多いビワマス、ニゴロブナ、ホンモロコ、アユ、セタシジミについて、必要なデータの収集、現存量推定手法を確立した。また、漁獲量の正確性を期すため各魚種、漁法別に、漁協事務
、担当者および主な漁業者に、漁獲日誌の記載を依頼した。
、 フリーソフトウェアのEcopath with Ecosimを用いて琵琶湖生態系モデルを作成し、魚介類による環境改善
、効果の再現および生態系管理方策を探るためのシミュレーションモデルを構築した。
、II.農業濁水等沿岸環境モニタリング
、 4~5月に宇曽川河口上流の調査地点で透視度、懸濁物質量の調査を行った。透視度は4月22日以降50cm以下
、となり、4月25日以降30cm以下となった。30cm以上に回復したのは5月13日、50cm以上に回復したのは5月27日で
、あった。
、 依然として、春先に濁水が琵琶湖へ流入していることが確認された。今後も、琵琶湖への影響を確認するため、
、これらの動向を継続して確認していく必要がある。
、III.漁場環境悪化要因の究明研究
、 流域下水道終末処理場や農業集落排水処理施設から公共水域へ放流される生活排水処理水が漁場環境に及ぼす
、 影響を把握するため、放流水の拡散状況や栄養塩類等の調査を実施した。
、 9月に野洲川の支流で、6,9,2月に琵琶湖彦根港沖で生活排水処理水による漁場環境への影響を調査した。
、 河川水質に関して全窒素濃度と全リン濃度で見ると、ともに処理水の流入口から下流部10m以内で希釈され、
、 調査地点では処理水の流入による河川水質の悪化は認められなかった。
カテゴリ モニタリング

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