農業構造の変動と地域性を踏まえた農業生産主体の形成・再編に関する研究

課題名 農業構造の変動と地域性を踏まえた農業生産主体の形成・再編に関する研究
課題番号 2012020316
研究機関名 農林水産政策研究所
研究分担 小野智昭
橋詰登
増田敏明
研究期間 2011-2013
年度 2012
摘要 (研究の概要)
①戸別所得補償制度等の直接支払い制度を本格的に実施する中で、農業の体質強化をどのように図っていくことが適当か明らかにするため、統計データを用いたマクロ分析や地域全体を面的に捉えたミクロ分析により戸別所得補償制度の実施による農業構造への影響を整理し、地域特性に応じた集落営農組織の法人化・再編の方向性や個別経営との広域での農地の利用調整の在り方について検討。
② EU、米国の価格、所得政策等や、韓国の農業構造調整施策等に関し、制度、運用、影響等につき調査、分析。

(成果の概要)
○EUの次期CAP改革法に関しては、EUの次期CAP改革法案に対する農相理事会、欧州議会の修正案、とりわけ、グリーニング、同等性など直接支払の要件、制裁措置や、活動農業者などの扱いをめぐる政治的調整の過程や今後の方向についてとりまとめ。農業政策の基本的方向が農業振興から公共財供給へシフトしていることを提示。
○欧州の農業保険制度の展開方向に関しては、10月にフランス、スペイン、イタリアの農業保険関係の調査を実施。各国ともに2014年CAP改革に対応すべく農業保険の見直しを実施。CAP2014年改革案の中で新たな収入変動緩和対策として「相互基金」の活用が検討されていることを解明。
○米国農業政策の変遷の背景要因や政策意図を分析。価格低迷時に不足払等の政府支払により農家の所得を補填するという基本部分は維持・継続されている。主要農産物に関しては、価格の高騰時以外は、政府支払が農業経営の維持のために必要不可欠であることを提示。
○韓国のFTAに伴う農業構造調整等に関しては、米国やEUとのFTA発効後の農業構造調整に焦点を当て、歳出予算、税収などを整理・分析。FTA対策については、既存対策との重複が少なくないことや、景気悪化に伴い財源に充てられる農漁村特別税の税収が懸念されていることを提示。

○我が国では、品目横断的経営安定対策の導入を機に、政策対応のために作られた組織のうち、協業の実態のある組織では、組織としての活動が少しずつだが進展しているが、法人化が展望できる組織はまだ少なく、更に、高齢化に伴い組織の持続性が懸念される状況(中山間地域でより深刻)。このため、?)集落営農は任意組織であることを過渡的なものとして捉え、組織内の機運の醸成度合いに応じて法人化を促すこと、?)法人化の必要性が見えにくい段階の組織では、5年、10年後の労働力、機械の所有状況、農家のリタイア等の状況について構成員間で共通認識を醸成し、組織に求められる機能は何かについて議論する必要があること、?)法人化も最終目標ではなく通過点の一つであり、法人化後、どのように経営展開していくかが大切であることについて理解を深める必要があることを提示。
○集落営農と規模拡大意欲のある個別経営の分布の偏りのため、両者不在、両者混在の集落があり(中山間では、両者が絶対的に不足)、集落を超えた広域での農地の利用調整が必要だが、そうした調整の場がない地域が多い。他方で、集落より広域の自治会の活用等でそうした場を創出する動きも把握。以上のような状況を踏まえれば、広域での農地の利用調整や話し合いが必要な地域では、「人・農地プラン」でも、集落単位に固執せず、取組事例を参考に、集落を超えた範囲での作成を促すことが有効であることを提示。

(成果の活用)
・自民党の政権公約である多面的機能支払いの導入やTPP交渉参加、更には「攻めの農林水産業」の展開にかかる検討に伴い、欧米の価格・所得政策及び韓国の農業対策に対する関心が高い中、本研究成果は国会対応や本省内における政策担当部局への情報提供等に活用。
・行政部局において、平成24年度から導入された「人・農地プラン」の取組と併せて、集落営農を法人化へと誘導することを基本とし、地域農業の持続性を確保していく方策を検討しているところであり、本研究の成果を参考にしながら「集落営農の法人化に向けた話し合いを進めましょう」と題した普及啓発資料を作成し、現場の担当者に周知。
カテゴリ 規模拡大 経営管理 中山間地域

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる