被災地域の復興過程の分析による農山漁村の維持・再生に関する研究

課題名 被災地域の復興過程の分析による農山漁村の維持・再生に関する研究
課題番号 2012020319
研究機関名 農林水産政策研究所
研究分担 小野智昭
江川章
研究期間 2012-2014
年度 2012
摘要 (研究の概要)
①東北の被災地で進められる集落の復興に向けた取組を定点観測的な手法で分析するとともに、無住化が懸念される農山漁村における集落間連携や集落再編の取組、過去の被災地等における集落の再興に向けた取組の実施効果、課題を分析し、農山漁村の維持・再生のために講ずべき対策、構築すべき推進体制を解明。
②農山漁村集落内に住んでいる高齢者や定年移住者等の生き甲斐の場の創出、新たに地域内に若者を呼び込むための雇用の場の創出と定住対策(住環境、子育て環境、高齢者介護環境等の確保対策)等が実施されたり、されようとしている地域において、それらの対策による人口移動への影響について分析し、今後講ずべき施策の方向性、施策の組み合わせについて解明。

(成果の概要)
1)被災地域の復興過程に関する研究
  過去の復興事例等に関する研究を実施し、①人口減、高齢化の進展を想定し、その対応策も盛り込んだ復興計画が重要であること、②被災後の担い手を特定し、新たな営農体制構築で合意できれば、地域農業再生の可能性があること、③既存のネットワークを保持・活用できれば地域コミュニティの再生で迅速に復興に取り組めること、④地域外の人材を支援活動に取り込むことで持続性の高い効果が期待できること等を明らかにし、東日本大震災の被災地への示唆として提示。
 他方で、東日本大震災の被災規模は大きく、地域による被災状況にも差がある。このため、人的被害と水産被害の大きい三陸地域(岩手県・宮城県)、農地の被害が大きい仙台平野(宮城県)、農地被害と原発被害・風評被害のある福島県の3地域に分けて現地調査(機関調査)を行い、それぞれにおける復旧・復興の現状と問題点等を把握し、25年度以降の定点観測のための調査設計を実施。
2)農村集落の維持・再生に関する研究
農業集落の小規模化、集落活動の停滞傾向が中山間地域を中心にみられる中で、センサス上の集落コードを照合することで、この5年間に無人化等によって消滅した可能性がある農業集落(56集落)を析出。こうした集落の状況を受けて、複数集落や外部主体(NPO法人等)の参画によって集落活動を維持しようとする動きがみられ、こうした活動を基礎に立ち上げられた広域的な地域組織が、地域資源の利用や都市農村交流等の多様な活動を実施する基盤となっていることを把握。また、NPO法人をはじめとして、社会福祉法人や特例子会社等が、農業・農村サイドの人材と連携し、地域振興のための取組や農業者に対する支援を行うことで、地域の活性化に貢献していることを解明。

(成果の活用)
 これまでの復興事例(事実及び実績)に基づいた調査・分析からの示唆の提示であり、実際に達成可能な取組参考事例として、当事者の被災地域だけでなく本省段階での企画立案の参考素材として活用。
 一方で、過去の復興事例がいずれも経済成長下での取組であったことから、総人口の減少や産業空洞化等経済活動が縮小傾向となったこと等現状の経済情勢等を踏まえた考察を加え、より現実的な分析と示唆となることを期待。
カテゴリ 中山間地域 風評

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