G 森林の生物多様性の保全と評価・管理・利用技術の開発

課題名 G 森林の生物多様性の保全と評価・管理・利用技術の開発
課題番号 2013023161
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 小泉透
研究期間 2011-2015
年度 2013
摘要 <研究内容>
森林内で増えすぎたニホンジカ個体数の低減を図るため、一時的な給餌によりシカを誘引し効率よく捕獲除去する手法を開発する。マツ材線虫病の発病機構に関わる病原および宿主の生体分子の挙動等を明らかにする。生物多様性保全に配慮した持続可能な森林管理手法を開発するため、管理による生物多様性の変動を予測する森林生物多様性変動シミュレーターを開発する。レブンアツモリソウをモデルとして、絶滅危惧種の現地内保全技術を高度化し、自生地復元技術を開発する。
<成果の概要と活用>
開発した誘引プログラムは、野生ジカの行動を条件付けによりコントロールし、捕獲に適した日中に出没させるようにしたきわめて画期的な手法である。この誘引プログラムを導入した静岡森林管理署が実施したシカ捕獲事業では伝統的な巻き狩りによる捕獲の40~50倍の捕獲効率を持つことが実証され、森林・林業白書に優良事例として取り上げられた。また、鳥獣保護法の改正にも貢献するなど社会的なインパクトも大きく、シカ被害の軽減の中核技術が開発され、シカ管理のターニングポイントとなった。マツ材線虫病の発病機構を解明するために、感染の初期段階において、病原及び宿主の発病に関わる遺伝子やタンパク質などの生体分子の挙動等を明らかにした。また、5 種類の生物群(植生、微生物、土壌動物、ハナバチ類、果実食鳥類)の空間分布と移動パターンに基づき、林業地における広葉樹林の配置、特に面積の効果に科学的指針を与えた。これにより、森林生物多様性変動シミュレーターの構築に重要なパラメータを供し、生物多様性を保全するための森林管理技術の開発を著しく進展させた。レブンアツモリソウに関する研究成果は、環境省レブンアツモリソウ保護増殖分科会で報告し、高茎植物刈り払いが保護増殖事業に採用されたほか、事業のロードマップ作成及び保護管理体制の見直しを支援するなどして施策に貢献した。
カテゴリ 管理技術 シカ

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