(イ)ゲノム情報を活用した研究開発の高度化

課題名 (イ)ゲノム情報を活用した研究開発の高度化
課題番号 2013023186
研究機関名 水産総合研究センター
研究分担 清水昭男
藤原篤志
坂本節子
釜石隆
及川寛
乙竹充
桑田晃
長井敏
坂見知子
斉藤憲治
中村洋路
馬久地みゆき
協力分担関係 国立遺伝学研究所
研究期間 2011-2015
年度 2013
摘要 クロマグロの筋肉における呼吸関連遺伝子の発現量が他の魚類と比べて多いことを明らかにした。脳下垂体ホルモンを添加した培養液中で成熟初期のクロマグロ卵巣を器官培養し、網羅的な遺伝子の発現変動を解析できることを示した。クロマグロの全ゲノム解読については、飼育管理技術の改良に結びつく視覚について解析し、その論文が世界的な著名科学雑誌PNASに掲載された。次世代シーケンサーを用いて、さめ類、さけ・ます類、海藻類のマイクロサテライトDNAマーカーを開発した。スサビノリの完全長cDNAライブラリーを作成し、全発現 遺伝子に相当する6,906遺伝子のカタログを完成した。ウナギの抹消血球を用いた短期培養法による染色体標本作製法を確立し、後期複製 バンド法を用いた染色体分染を実施するとともに、セルソーターを用いて単一染色体を分取した。また、タイラギの多型解析やブリの全ゲノム解読等、当初の計画にはなかった行政等からの研究の要請にも迅速かつ的確に対応した。マイワシ等の魚類では、集団遺伝学の標準モデル(Wright-Fisherモデル)よりもLambda(多体)モデルが適していると考えられることから、集団の多型分析による個体群動態パラメ ータの推定手法として、多体モデルのパラメータ最尤推定法を検討した。その結果、明らかとなった。
海洋微生物等のメタゲノム解析手法(環境サンプルから直接DNAを抽出し、系統解析を行う手法)の開発では、メタゲノム解析のためのサンプル採取を西日本各地で合計143回行った。メタゲノムデータは、プランクトン、ウイルス画分を合計114件取得し、データベースに登録した。リファレンス配列となる全ゲノムは、魚病細菌、感染ファージ、殺藻細菌を合わせて50件取得し登録した。メタゲノム解析により、低濃度の赤潮原因プランクトン(シャットネラ)の増殖をモニターすることに成功した。また、定量PCR法等により、赤潮等の発生に関与 する微生物集団の経時的な変化の解析に着手した。現場試料を用いた赤潮プランクトン定量性の検証、及び赤潮予測指標の候補微生物を検出・定量するためのプライマー(DNA断片)を作製した。平成25年度は、大阪湾において麻痺性貝毒原因プランクトンが大規模に増殖した が、メタゲノム解析により、平成24年度と比較して出現種の組成が大きく異なることが示された。海水中の毒量と原因プランクトン密度の増減とが高い相関を示したことから、海水中の貝毒成分の定量が貝毒プランクトンのモニタリング指標として利用できる可能性が高いと考えられた。東北海域において、沿岸域は仙台湾に設定した沿岸定線、沖合域は親潮域と親潮・黒潮移行域をまたぐ観測定線(Aライン)を 対象に定期海洋観測を行い、従来の方法による微生物群集の多様性及び動態解析を行うとともに、メタゲノム解析のための試料採水を行った。次世代シーケンサーを用いた動物プランクトンのメタゲノム解析手法を確立した。節足動物を標的とした新たな28S-rRNA(リボソームRNA)のユニバーサルプライマーを開発し、18S-rRNAに8個ある超可変領域を精査するとともに、細菌の16S-rRNA、真核生物の18S-rRNA及び28S-rRNAを標的としたユニバーサルプライマーについて種名情報を付加したDNAプローブセットを作成した。さらに、定期的な新規登録配 列の取得、重複登録の精査、新規プローブの登録、プローブセットの更新を自動で実施する迅速・大量データ処理システムを構築した。珊瑚礁の保全や回復に向けたメタゲノム研究を開始した。ノーベル賞受賞者ジェームズD.ワトソン博士が特別講演を行った国際水圏メタゲノムシンポジウムにおいて5件の口頭発表を行うなど、メタゲノム研究の成果を大きくアピールした。
アマモ場内のシャットネラ殺藻細菌数はアマモ場外よりも多かったが、分離された細菌は同種であり、アマモ場に出現する赤潮抑制細菌 の種類は沿岸海水中と共通していると考えられた。また、定量PCR法等により赤潮等の発生に関与する微生物集団の経時的な変化の解析に 着手した。さらに、飼育環境水中の病原体ゲノムの網羅的解析で、ゲノムが107コピー/L以上であれば検出可能であることを明らかにする など、養殖漁場における魚病の発生予測法を検討した。
カテゴリ 管理技術 データベース DNAマーカー モニタリング

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