課題名 | (エ)その他の基礎的・基盤的な研究開発並びに他分野技術の水産業への応用 |
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課題番号 | 2013023188 |
研究機関名 |
水産総合研究センター |
研究分担 |
渡邊朝生 八木宏 栗田豊 神山孝史 山本祥一郎 金庭正樹 生態系動態グループ 奥村裕 澤田浩一 高見秀輝 宮田勉 黒川忠英 伊藤進一 小埜恒夫 桑原隆治 大河内裕之 藤本賢 坂井貴光 浜口昌巳 高野倫一 |
協力分担関係 |
福島県内水面水産試験場 東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター 岩手県水産技術センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | 東日本大震災の復旧・復興に寄与するため、津波等が沿岸生態系や養殖漁場環境に及ぼした影響の評価と回復状況のモニタリングを継続して取り組み、データを蓄積した。また、復旧・復興に寄与する漁場生産力の回復・向上に資するため、岩手県沿岸におけるマガキ養殖のための環境収容力の解明を行った。宮城県沿岸では、宮城県内の主立った湾を対象にして湾毎にマガキの成長速度や餌料要求量を推定し、シミュレーションによって養殖適正量を推定した。また、福島県松川浦を対象にした環境と生産力の評価を開始した。さらに、福島県沿岸の漁業の再開に向けて、東京電力福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故による漁業自粛の資源への影響を評価するため、資源解析モデルの開発を開始するとともに、ケムシカジカを対象とした資源量推定モデルを構築し、東北海域の底魚を想定した漁業休止がコホート解析による推定値に与える影響を評価した。 ヒラメ、ババガレイ等の底魚について、浅い海域で放射性物質による汚染度の高い個体が多い等の汚染の空間分布の特徴を把握した。標 識放流によるマダラやヒラメ等の底魚類の移動生態の解析により、福島第一原発周辺で汚染されたマダラやヒラメが遠隔海域において出現する可能性を検討した。また、年級群によってヒラメの放射性セシウム濃度に違いがあることから、高濃度の放射性セシウムの取り込みは主に原発事故後数ヶ月間に集中していたこと等を明らかにするなど、濃度が高く維持されている種類についてそのメカニズムの解明等に取り組んだ。福島第一原発周辺海域調査により、高濃度海底土でのベントスの汚染度を把握し、さらに飼育実験により、汚染土からベントスへの放射性セシウムの取り込みは限定的であることを確認した。生態系内での放射性物質の移行過程を解明するため、福島県沖合の魚の胃内容物の解析と安定同位体分析から生態系の構造を明らかにした。内水面では、福島県内で3湖沼と5河川を対象にサンプリングを実施し、環境試料及び魚体内の放射性セシウム濃度を測定した。 また、 中禅寺湖の魚類について、 放射性セシウム濃度の減衰傾向を解析し、魚 種毎の減衰の違いを明らかにした。海洋環境中での放射性物質の輸送機構を解明するため、いわき市沿岸部における流動構造、海底境界層の力学特性を解析するとともに、沿岸領域モデルを構築した。さらに、陸域からの放射性物質流入モデルを作成し、海底境界過程モデルを含む放射性物質動態モデルの導入を試み、気象擾乱に対応した放射性セシウム濃度の上昇が再現された。 被災地域の水産業復興をめざした食糧生産地域の再生事業について、岩手県を対象に、天然資源への影響を低減可能にする漁業・養殖シ ステム構築を目的とした事業に継続的に取り組むとともに、宮城県を対象にした新たな事業への取組を開始した。岩手県では、沖合・沿岸海洋環境情報統合システムに関する観測システムの整備、三陸サケ回帰率向上のための放流技術、ヒラメ稚魚の効率的な放流技術、ワカメ養殖の効率化等多岐にわたる実証研究を進めた。サケについては、稚魚の生残率向上への海中飼育の有効性を示唆する結果を得た。また、スルメイカの高品質化への取り組みにより、高鮮度化のための船上処理手法を考案し実証した。宮城県では、養殖ギンザケを対象にした養殖業の安定化及び省コスト・効率化、宮城県産カキの生産と市場競争力を取り戻すための養殖技術、生ガキの商品価値を高める加及び省コスト・効率化、宮城県産カキの生産と市場競争力を取り戻すための養殖技術、生ガキの商品価値を高める加工・流通技術の導入を目指した実証研究に取り組んだ。また、ギンザケ養殖の安定化のために必須とされている赤血球封入体症候群(EIBS)対策について、原因ウイルスの全ゲノム配列を決定するとともに、計画を前倒ししてEIBS感染履歴の検査基盤を整備した。 |
カテゴリ | 加工 コスト モニタリング 輸送 |