課題名 | かび毒産生病害からの食品安全性確保技術の開発 |
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課題番号 | 2013023080 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
平八重一之 長嶋等 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | ムギ類赤かび病に関しては、a) 赤かび病抵抗性素材のコムギ品種について、「延岡坊主」は発病度が高くなると粒内菌体量の増加に伴って菌体量当たりのデオキシニバレノール(DON)蓄積量が増加すること、「フロンタナ」と「農林61号」は、発病度が高くなり粒内菌体量 が増加しても菌体量当たりのDON蓄積量に変化がないことを認めた。b) 二条オオムギ「ニシノホシ」、「ニシノチカラ」の発育予測モデルでは、出穂期の推定値と実測値の予測誤差に栽培地点ごとの傾向を認め、二条オオムギの発育速度は土壌や施肥量などの影響を受けていると推察した。また、コムギの開花期予測システムに気温予報値を組み込み、天候が平年と大きく異なる場合の予測精度を向上させた。c) 不耕起栽培のリスク評価では、3年間の圃場試験により耕起栽培と不耕起栽培との間で赤かび病の発病穂率、発病度、デオキシニバレノー ル(DON)及びニバレノール(NIV)の蓄積に差がないことを明らかにした。 トウモロコシ赤かび病に関しては、殺虫剤散布によって赤かび病の発病及びフモニシン(FUM)蓄積が低減し、害虫による食痕が赤かび病 菌の侵入口の一つであることを明らかにした。また、九州研本所内圃場で栽培したトウモロコシでは、赤かび病発病度に3年間で同様の品 種間差を認め、播種時期によって分離される赤かび病菌の菌種が異なることを明らかにした。 かび毒の動態解明、分析法の高度化、毒性評価法の開発に関しては、a) めん用コムギ「チクゴイズミ」の製粉後の上質粉におけるゼアラ レノン(ZEA)の残存率は、DON、NIVに比べて低いことを明らかにした。また、ZEA標品を用いた添加回収試験により、油中のアフラトキシン分析に適用された前処理法が油中のZEA分析における前処理にも有効であることを認め、油中のZEA分析法について単一試験室内で妥当性を確認した。b) 赤かび病かび毒による汚染トウモロコシ粉末についてDON以外のかび毒に関する配糖体の有無を調べ、タイプAトリコテセ ンであるネオソラニオール、ジアセトキシスシルペノール、モノアセトキシスシルペノールについて配糖体が存在することを明らかにした。特にT-2トキシンとHT-2トキシンについては2糖配糖体も存在することを確認した。さらに、トリコセテン以外のかび毒であるFUMについ ても配糖体の存在を推定した。c) 熱ショックタンパク質90(Hsp90)の特異的阻害剤は、DONによるヒト白血病細胞HL60からのサイトカイ ンMIP-1αとMIP-1βの分泌誘導を抑制することを認め、両サイトカインの分泌誘導でのHsp90の重要性を明らかにした。一方、NIVによる両サイトカインの分泌阻害作用に対してHsp90の阻害剤は効果がないことを認めた。d) 単細胞緑藻のChlamydomonas reinhardtiiは、タイプBトリコテセンに対して動物細胞と同様の感受性を示し、毒性評価に適した細胞であることを明らかにした。また、C. reinhardtiiのフザレノンX(FusX)に対する感受性が培養時の光強度の増加によって高まることを認めた。 |
カテゴリ | 大麦 害虫 施肥 抵抗性 とうもろこし 播種 評価法 品種 不耕起栽培 |