新需要創出のための生物機能の解明とその利用技術の開発

課題名 新需要創出のための生物機能の解明とその利用技術の開発
課題番号 2013023107
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 北村義明
研究期間 2011-2015
年度 2013
摘要 生物機能探索のための解析・評価技術の開発と多様な生命現象の解明に関しては、a) 糖鎖チップ用糖鎖ライブラリーの合成について、シアル酸が結合した32種類の糖鎖合成(シアル酸とガラクトース、シアル酸とグルコース、シアル酸とキシロース、シアル酸とマンノースの4組×8種類の結合組合せ)に成功し、糖鎖チップのバリエーションの拡大を可能とした。b) 生物活性分子の検出手法の開発について、酸 化LDL受容体(LOX-1)に特異的に作用する合成グリセロリン脂質(DOPG)の単層膜リポソームを開発し、LOX-1選択的な物質取り込みに活 用可能なことを確認した。c) テトラサイクリン耐性を獲得した枯草菌では、テトラサイクリン耐性遺伝子(tetB)両側の4つの直列反復配列(DR1~4)と相同組換えを司る遺伝子RecAが、相同組換えを介してtetB遺伝子領域の重複効率の増加に寄与していることを明らかにした。d) 優れたキシラナーゼ生産菌であるStreptomyces olivaceoviridis E-86株のゲノム遺伝子配列を解析し、リグノセルロース系バイオマス分解酵素の候補として、糖加水分解酵素ファミリー5,6,10,11,12,16,43,48,54,62,74及び115に分類される遺伝子配列を、それぞれ4,3,2,1,1,4,3,1,2,1,1及び1種類保有していることを明らかにした。e) 溶液X線散乱クロマトグラフィー法による食品関連生体高分子の溶液構 造物性評価手法の開発において、糖タンパク質プロテオグリカン(ムチン)の分子鎖の硬さを示す指標(持続長)を明らかにした。f) 微 生物の物質生産・環境適応制御機構の解明において、大腸菌の酸耐性機構の一つと考えられていたグルタミン酸脱炭酸酵素が、酢酸耐性には直接の関連がないことを明らかにした。g) 果実生理特性に関わる遺伝子発現制御機構の解明においては、トマトの離層形成制御転写因 子JOINTLESS(J)に相同性のある遺伝子MdJa、MdJbをリンゴから単離した。さらに、トマト変異体での発現試験により、このMdJbがトマトJと相同の機能を持つ転写因子であることを確認した。
微生物の代謝機構解明を通じた発酵食品の開発と新規食品素材の製造技術の開発に関しては、a) キシリトール生産大腸菌について、キシ ロースとアラビノースの両者からキシリトールを生産するために関連する複数の酵素遺伝子を組み込んだ大腸菌を作成し、アラビトールの蓄積を減少させてキシリトールの収率を約40%まで向上させることに成功した。b) 複合酵素系によるオリゴ糖調製について、様々な糖リ ン酸化酵素反応にATP再生系を組み合わせることで、新たなオリゴ糖合成の原料となるN-アセチルグルコサミン1-リン酸、N-アセチルガラ クトサミン1-リン酸、L-アラビノース1-リン酸、N-アセチルグルコサミン6-リン酸をグラムスケールで調製することに成功するとともに、新たなオリゴ糖製造に有用な新規ホスホリラーゼ4種を同定した。c) 実用麹菌株の酸性ホスファターゼ様遺伝子群の転写プロファイルを解明し、その発現を抑えた米?を作成した。作成した米麹を使ったダシ成分の分解を抑制するダシ入り味噌の醸造法を開発した。d) 納豆菌バクテリオファージFNIT1のレバン分解酵素遺伝子levPの酵素的特徴を明らかにするとともに、その特異性を利用してレバン高生産型納豆菌 株Miyagi-4100の育種に成功し、黒大豆納豆用のスターターとしての実用化に貢献した。e) イソマルトメガロ糖合成関連酵素に関しては、Paenibacillus sp. 598株由来のデキストラングルカナーゼの大量生産に成功し、その結晶構造解析により3つの糖結合モジュールを有することを明らかにするとともに、サイクロデキストラン合成酵素のタンパク工学による変異導入により、活性上昇に加えメガロ糖生成割合が増加したメガロ糖生産に好適な変異酵素を取得した。f) ヒトミルクオリゴ糖LNBの遺伝子組換え菌を利用しない製造法の確立を目的として、LNB製造酵素の一つであるGLNBPを高生産するビフィズス菌変異株を取得した。g) 麹菌による有用物質生産に利用できる発現ベクターの 開発において、白色光を照射することにより転写を制御することができるプロモーターを用いた新規発現ベクターのプロトタイプを開発した。h) 発酵食品データベースの開発において、平成24年度までに作成したプロトタイプに新たに食文化に関する情報を扱うテーブルを追 加し、6つの基本テーブル(食品、微生物、原材料、食文化、文献、問合せ先)からなるシステムとするとともに、全国の30名以上の開発 協力者向けにマニュアルを整備した。i) サワーパン種から分離した酵母と乳酸菌に相互の増殖を促進する相互作用があることを明らかに するとともに、植物由来乳酸菌Lactobacillus brevisに見られる植物細胞壁成分への吸着に、本菌の細胞表層タンパク質が関与することを明らかにした。
カテゴリ 育種 加工 くり 大豆 データベース トマト 評価法 りんご

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