④ 家畜ゲノム育種研究基盤の高度化

課題名 ④ 家畜ゲノム育種研究基盤の高度化
課題番号 2013023127
研究機関名 農業生物資源研究所
研究分担 美川 智
小島 美咲
後藤 英夫
須藤 淳一
上西 博英
春海 隆
渡部 聡
小川 智子
谷口 雅章
荒川 愛作
研究期間 2011-2015
年度 2013
摘要 1. ブタ免疫系遺伝子のアノテーションを目的とする国際グループ(Immune Response Annotation Group:IRAG)に参画し、ブタゲノム 配列上での遺伝子アノテーションを行った。機能について報告があるものの他、病原体への応答などによって発現パターンが変化する遺伝子を選抜し、日本で解析した完全長cDNAなどの発現遺伝子情報を用いてエキソン-イントロン構造を詳細に解明した。日本で担当したものは1,369個の内、139個である。またヒト、マウス、ウシ、ブタでの遺伝子重複についても解析し、種を超えて共通するもの、またそれぞれの種に特有のものが明らかとなった。
2. ブタ免疫系遺伝子の多型を網羅的に検索するため、4品種8個体のゲノムDNAから約760個の免疫系遺伝子のエキソン領域を濃縮したライブラリーを用いて、超高速シーケンサーによる解析を行った。それぞれの品種について2.5 Gbから3.3 Gbの配列が得られ、ブタゲノム配列(Sscrofa10.2)へのマッピングを行い、SNP及びIndelを抽出した。リファレンス配列と同種であるデュロック種において約800か所、それ以外の品種では約1,200か所の多型部位が検出された。アミノ酸置換を伴うものも500個程度検出されており、抗病性との関連性解析への利用が期待される。
3. ブタの飼料利用性の遺伝的要因を解明するため、全自動飼料摂取量・体重記録装置を用いた個体ごとのデータの蓄積とゲノムワイドSNPのタイピングを進めている。ランドレース種、デュロック種のそれぞれについて解析した結果、ランドレース種で6個、デュロック種で 7個の染色体に余剰飼料摂取量に関する遺伝的効果が認められ、また2品種に共通する染色体は2個であった。
4. ブタ脂肪細胞の分化及び脂肪蓄積へのGタンパク質共役受容体(GPCR)の関与の解明を目的とし、超高速シーケンサーを用いて、ブタ 前駆脂肪細胞株(PSPA)のRNAシーケンスを行った。約20万リードから、5,000以上の遺伝子発現が確認され、PSPAで発現するGPCR遺伝子は10種類であった。これらは、分化誘導前から発現しているものと、分化誘導後に著しく発現が増大するものの2グループに分類された。
5. 梅山豚オスに特徴的な高アンドロゲン濃度に関連する薬物代謝系遺伝子発現の品種間差及び性差の解明を目的とし、薬物代謝系酵素遺伝子の転写レベルを解析した。硫酸抱合、グルクロン酸抱合、アミノ酸抱合などの第Ⅱ相薬物代謝反応に関与する酵素群の内、Sulfotransferase(SULT)、UDP-glucuronosyltransferase(UGT)について解析し、SULT1A1、SULT2A1ではアンドロゲンにより発現が抑制される一方、UGT1A1、UGT1A6、UGT2B31では発現が亢進することを明らかにした。アンドロゲンは硫酸抱合により排泄されることから、梅山豚オスの 高アンドロゲン濃度維持へのSULTの関与が示唆された。
カテゴリ ゲノム育種 飼料利用性 品種

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